「尖閣衝突問題」がこじれた経緯を伝える朝日新聞の記事を紹介しながら、井上貴博アナが日中の「船長の勾留延長をめぐる認識のズレ」を説明する。
――「日本政府は中国はそんなに強く出てこないだろう」と見立て、「中国は日本側は中国との関係に配慮して勾留延長しないだろう」と見ていた――勾留延長決定後、中国側は相次いで強硬策を打ち出す。
実はこの時期、日本は内閣改造の最中だった。朝日新聞に外務省幹部の話が載っている。
「岡田氏も幹事長就任が決まってからは『次の大臣がやること』と仕事に手をつけなかった。前原氏も直後に控えた国連総会の準備しか頭になかった」
仙谷官房長官も、朝日新聞によれば、最近、知人に「民主党に中国とのパイプがないんだ」と漏らしたという。
中国も「勾留延長ない」と楽観視
コメンテーターの早野透(桜美林大学教授、元朝日新聞編集委員)は「政府の体をなしていない」と怒る。
民主党内でも、松原仁衆院議員ら小沢派を中心として、船長釈放に抗議する声明を発表するなど、「反菅」の動きが広がっているようだ。
三屋裕子(スポーツプロデューサー)は「党内野党と言っている場合でない。もっと言えば、国益を損なうかどうかの問題なんだから、野党も国会で追及するなんて言っている場合じゃなくて、みんなで智恵を出し合って協力した方がいい」と忠告する。
内野雅一(週刊エコノミスト編集長)は「国家の危機管理はどうあるべきかがキーワード」として、「危機管理は、相手を読んで、次の手をどう打ち、どう打ち続けるかだ。今回の事案を見ると何もない。場当たり的で稚拙な感じがしてならない」と切り捨てる。
失望感が深まる日本の秋である。
文
アレマ