どうも菅首相の動きが鈍い。急激に進む円高に、かえってそれを助長するような発言をするなど、政権担当者としてやるべきことがわかってないのではないか、というのでまた円高が進む……。そんな案配だ。
きのう(24日)一時83円台をつけた円高に、野田財務相は「重大な関心を持って見守っている」とは言うものの、「介入の可能性は」と聞かれても「コメントしません」と言うばかりだった。
また、菅首相は円高について聞かれたのに、「労働界から雇用対策の要望を受けたし、やるべきことはやってます」とはぐらかす。
欧米並みに資金供給量増やせばいい
「ボク怒ってるんです」と経済アナリストの森永卓郎が解説を始めた。
「野田さんが『見守る』ということは、何もしないということ」
森永はおとといの菅首相と白川日銀総裁との会談にも文句をつけた。「直接会わずに、電話で15分間だけでしょう。これではやる気がないと思われてもしかたがない」
赤江珠緒キャスター「市場は敏感なんですね」
斉藤惇・東証社長も「市場は先行き厳しいですよというサインを出しているんだから、国を挙げて総合政策を打つべき。どこでも自分の生き残りのために必死にやるのが当たり前なのに、もってまわった話ばかりでは、市場になめられてしまう」と厳しくコメントをしている。
佐々木亮太アナの「経済が悪いのになぜ円高に」という問いに、森永は日本より米欧がもっと悪いために、金が円に向かった結果だと解説。日本は欧米に比べて資金供給量が少ないことが影響していると言う。リーマンショック以後、米国は2.2倍、欧州は1.5倍に増やしたのに、日本は10%。
森永「これを増やせば、簡単に円高は防げる」
なぜやれないのか。森永は「日銀が言うことを聞かないから」と説明したが、その理由は示さなかった。そこがポイントだろうに。
ただ、円高に歯止めをかけられそうな動きが2つある。ひとつはあす民主党がまとめる追加経済対策。もうひとつが9月の代表選だ。もっとも、追加対策は「おそらくしょぼい内容だろう」(森永)
となると代表選が大きい。いまの民主党の幹部には対米配慮が強い。円高はアメリカ経済にとっては有利だから、思い切った介入などができないのではないか。そこで、「代表選で小沢が勝てば」変わる――というのが森永流の解析だった。
そんな戦略は日銀だってわかっているのだから、ひょっとして日銀は小沢政権誕生を待っているのか。森永もそこまでは「わからない」のだそうだ。何にしても、首相が真剣だというサインくらいは出さないと、どうにもならない。