相撲協会が各部屋に「iPad」 配布なんで?

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   日本相撲協会はきのう(2010年8月23日)、親方や関取、高位の行司、床山、呼び出しら約250人を集めて意見交換会を開いた。内部の風通しを良くしようという趣旨だったが、参加した親方の中から「意見交換会というより、一方的な話で学習会みたいだった」という声が出るなど、「協会改革」に対する思惑の違いが浮き彫りになった格好だ。また、各部屋などに多機能情報端末「iPad」を配布することも決定した。なんで?

連絡をスムーズにするって…いまさら!

「iPadもお相撲さんは指太いから大変でしょうね」

   司会のみのもんたが茶化した。iPadの配布は相撲協会の行司など事務連絡をスムーズに行うためと説明されていて、各相撲部屋の師匠、部屋付きで役員待遇の親方、外部役員などに約60台配られるという。理事会の決定事項などもこれで配信されることになるようだ。

   相撲協会ではこの春に野球賭博などへの関与を自己申告するための上申書を各部屋にファックスで送信したが、なかには見落としたり廃棄してしまった部屋があった。こうした『漏れ』をなくすため、iPadで通達を徹底させる。

   しかし、これまで通達が徹底しなかったのは、伝達手段に問題があったというより、協会のノーズロ体質が原因だったのではないか。

   意見交換会では「公益法人制度改革」についての説明に大半の時間が費やされた。すべての公益法人は2013年11月までに「公益法人」として残すか、「一般法人」とするかの審査を受けるが、相撲協会もこの対象になっているとこが力士や親方たちに説明された。

   これについて東京相撲記者クラブ会友の杉山邦博氏は取材にこう語っていた。

「今のままでは公益法人として残るのは難しいと思いますね。不透明な部分が多すぎます。親方株の問題でもどうしておカネが動くのかというよな」

   外部から副理事長を起用したり、貴乃花を審判部長にしたりしているのも、公益法人に残るための「改革」の演出ということなのだろう。

   スタジオのコメンテーター山崎正(相撲ジャーナリスト)はこんな見方をする。

「税金などの問題で、株式会社化ではやっていけないことははっきりしていますが、力士などはきのうの意見交換会で初めて聞かされて、じゃあ私たちはどうしたらいいのかと戸惑っている。協会、親方、力士がバラバラになっている感じですよ」

   iPadを持たせれば風通しが良くなって、何かが変わるという発想の貧困さこそ改革の対象なのではないか。

文   赤坂和郎| 似顔絵 池田マコト
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