友人が鼻息荒く言う。
「女はやっぱり肉食男子を求めているんだよ」
彼女は別段ファンでもないが、芸能関係に身を置いているというだけで、ご招待枠でエグザイルのライブに行ってきた女。そこで想像以上の収穫を得たらしい。んで、開口一番がコレ。
「日本女子による肉食男子礼賛の素養は存分にある」
多くの国内外のアーティストライブを見ている彼女に言わせると、彼らは日本人アーティストとしてエンターテインメント性が高く、正直驚いたとのこと。思えば、いつのまにやら一大勢力となったLDH。業界でもLDHと関係性を持てたことを自慢げに話す人が多い。
でも、考えてみてほしい。その所属筆頭タレント(ここはあくまでもアーティストといっておいたほうが、私個人としては今後の身の振り方としては妥当なところなんだろうが)であるエグザイルの年齢を。
彼女が熱狂したのは、人気者は30過ぎというオッサン集団のライブである。オッサンもしくはオヤジと言われても仕方なく、一般的にリアルに加齢臭がクサい!と若い女子たちからは忌み嫌われる年齢の男たちの集団ですぞ。が、現実には若い女子たちが黄色い歓声をあげて熱狂するグループ。これはもう平子理沙の男版奇跡の30代といったところか。
そしてこの光景を目の当たりにした友人は、「やっぱり女はあの汗臭くて男臭さみたいな鍛え上げられた筋肉とか見ちゃうと、弱いよね。たくましい体見せられるとダメだわ」
完全にメロメロ状態になっている。話を聞いていると、日常生活に当てはまることがあった。普段の生活ではあまり接することがない漁師さんや大工さんの若い男子に会った時のドキドキ感と似ていないか。近所のコンビニで、近くの工事現場で働いている大工さんと遭遇なんかしてしまうと、かなりテンションが上がる、あの感じ。
日に焼けて引き締まったカラダに目が行き、そんなゴツめな彼らがガリガリ君なんかを買っているのを目撃してしまったら、大半の女子はドキューンなワケである。それがエグザイルにはあるのかもしれない。
某女性編集者「ヤリたい男がいない」
エグザイルライブ感想を聞いて数日たったある日、私はある砲撃を受けることになる。
「セックスが美容にいいのはどの女も知ってるけど、ヤリたい男とかいないのが現状よね。女はさぁ、キレイになるためにヤリたいのに、ギラギラした男が少ないから困ってると思うのよね。あとはどう自分1人でキモチよくなれるのか、その方法論をキチンと説明してあげないとダメよね」
ズッドーン! なんですか? この爆弾発言。ある番組の打ち合わせでお会いした現在人気絶頂の女性編集者の方が放ったひと言。打ち合わせでいきなりコレだったので、こちらもタジタジだ。さらに彼女はたたみかける。
「あなた(筆者)だってそうでしょうォ、ヤラせてくれる男って周りにいないのが現状じゃない」
イヤ、そりゃコンビニでガリガリ君買ってる大工さんとの妄想が…とは、口が裂けても言えない。この打ち合わせは都内某ホテルの喫茶店で行われたため、妄想が本音だとしても、そんなこと言えな~い。久しぶりに、瞬時に私は『一応女子』という仮面をかぶってしまった。
でも、彼女の発言は言い得て妙である。同席した30代前半の男性ディレクターもこんな話をしていた。
「そういえばオレらのころって、勢いでアイツとやっちゃったって話は多かったけど、年下のディレクターやADでそんな話しているヤツ聞かないよね」
社内と言うべきか、同業種内恋愛が多いマスコミでは、かつてはスタッフ内のワンナイトラブ話は掃いて捨てるほどあった。と言っても、男女ともに後腐れなくその後も一緒にバリバリ仕事はする。今はこれもないらしい。私達の世代は性欲が最優先だったが、現在の若手は人間関係が面倒なことになるからヤメておくという理性が最優先になっているらしい。
これが顕著なのは特に男性らしい。セクハラとか気にしているのだろうか。それとも酔った勢いとはいえ、KYな人と思われたくないためだろうか。この傾向を見た年上の女性文化人が『男が草食系になった』と言い放ったのかもしれない。
しかし、女達はいま確実に肉食系を求めている節もある。女からアクションを起こさなければ、何事も始まらないような状況に置かれていることに、飽き飽きしているのかもしれない。
どちらがいったい真実なのか。これはまずは身を持って試してみることから始まるのか……。イヤイヤ、そんなエネルギーはもう私にも残っていない。すでに傍観者。
ちょいと自分の身を案じてみる。もう少しガツガツいった方がいいのか、それともイイ人ぶった仮面をかぶっていた方が身のためか。果たしていかに。
モジョっこ