交渉に応じると「会社は弱腰」とエスカレート
中国の現地法人社長を長く務めたというスタジオゲストの田中弘司(パナソニック名誉顧問)も、「誰がリーダーか分からないことが事態を難しくしている。すべてが事後の対応になる」と述べる。
企業側も手を拱いているわけではない。派遣労働者に正社員になる道を開いたり、要求を事前に把握するべく、中国人幹部から意見を聞いたり、工場内に悩み事相談室を置いたり、寮にカラオケルームを設けるなど、さまざまな努力を重ねてはいる。が、決め手にはなっていないようだ。
番組のVTRの中で「スト対策セミナー」の出席者が、「外資系企業にストが多い。中国企業とどこが違うのか」と質問すると、講師の中国人弁護士は「日系企業は交渉に応ずる。従業員にすれば、その会社は弱腰だ、スキがあると見てエスカレートする」と答えた。この場面は記憶に残る。
現地記者によると、今のところ中国政府はストを静観しているそうだ。労働者の賃金が上昇して消費が活発になるのは歓迎すべきことだからという。パナソニック名誉顧問は「中国におけるビジネスチャンスが拡大するのに合わせてリスクも拡大する」と結んだ。
「新農民工」は8000万人を超すらしい。日系企業の命運を握るといえるかもしれない。
目を日本に転ずると、ここしばらく若い労働者たちが正当な要求すら出せていないように思えて寂しい。こちらの政府には早く方策を講じてほしいものだ。