新薬開発のカギ「生物資源」確保でも日本苦戦

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   この不況下にあっても、石油や野菜、金など高騰するモノには事欠かないが、番組によれば生物資源(または遺伝資源)もどうやらそのひとつらしい。

   ペニシリンのもとになった「青カビ」、中国料理に使われる香辛料の「八角」の成分からはインフルエンザ薬タミフルが生まれ、「アマゾンのカエルの毒」は鎮痛剤として売れそうだとして研究が進められてるんだとか。生物資源はとくに医薬品の研究などには欠かせない原料である。

   ところが、東南アジアなどの生物資源大国は、自分たちのところから安く持ってかれた資源で、莫大な儲けをあげられてはたまならないと、OPECばりに価格統制、いや輸出規制を強めている。生物資源でもっと儲けられるのではないかと、十分な見返りを求めている。

予算けた違いの『チーム米国』

   そんななかで、またまたまた日本が苦戦を強いられているらしいのだ。そうした例は、このクローズアップ現代を見るだけで事欠かないのである。

   バイオ産業支援のために、微生物を海外で収集する独立行政法人NITE。これまでブルネイやインドネシアなど5か国と、共同研究の形で生物資源利用の契約を結び、集めた資源は2万種類。これを日本企業に貸し出している。

   ところが、NITEは昨年インドネシアとの契約を更新できなかった。この国は世界有数の生物資源大国で、NITEがもっとも傾注していた国なんだそうである。しかし、これまでに支払った資源利用料(製品化などに応じて払われるという)は300万円ほどにとどまり、インドネシア政府側の期待に応えることができなかった。そして見切られ、「雇い止め」の憂き目に遭ったようだ。

   日本の代わりに乗り込んできたのは、このごろ流行りのアジアの国――ではなく古い(元?)ライバルの米国であった。国立衛生研究所などからなるグループが拠点とするのは、皮肉にも日本の資金でつくられた現地の研究所。資源確保のために支払ったマネーは5年で400万ドル。メジャー級である。

   NITEの参事官は「金銭的に対抗できる状況ではない。脅威だ。ますます厳しい時代になってくる」と、これまたデジャブ感のあるコメントをしていた。

ボンド柳生

* NHKクローズアップ現代(2010年7月20日放送「生物資源めぐる世界対立」)

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