今週日曜日の参院選投開票で、各テレビ局は「他局より1秒でも早く当確を打てるか」に血道を上げることになるが、ここで威力を発揮するのが「出口調査」だ。投票所の出口で有権者をつかまえ、だれに投票したかを聞き取りアンケート調査するもので、事前の情勢調査と重ね合わせて候補者の当落を予想する。開票が始まったとたんにバラバラと当確が出るのは、この出口調査をもとに最終得票数をかなり正確に「計算」することができるからだ。
ほどなく当落はわかるのに、なぜ「早打ち競争」をするのか。当確を他局よりも早く打てれば、当選者をインタビューに引っ張り出せ、その瞬間にそれぞれの選挙区の視聴率がハネ上がるからである。
では、出口調査はどんな方法で実施されているのか。大手メディアの担当者が説明する。
「NHKなどは、参院選は何か所か抽出してやりますが、衆院選はほとんどすべての投票所で実施してますね。新聞や通信社は予算次第で、調査投票所の数も人数も違います。ウチでは投票開始から投票終了まで、50人ごとに聞きます。ある有権者に聞いたら、次は51人目、3人目は101番目ということです。断られても、次の人に聞くことはしません。断るのもひとつの回答ですから、それも含めて計算します。連続して聞かないのは、続けて聞くと政党や後援会の『動員』だったり、『同じ家族』だったりして、傾向が偏ってしまうからです。
ひとつの投票所の出口調査の結果だけでは当落は予想できませんが、選挙区全体で集計すると、まず違うことはありません」
それでも「当確」の打ち間違いが起きるのは、候補者取材の記者の「期待」や「思い込み」が入り込むからだという。
調査にあたるのはアルバイト。多くは学生だが、投票日は日曜日なのでサラリーマンの休日バイトも少なくない。日当は1万円前後。立ちっぱなしだから、結構しんどい。