先日、『ルポ貧困大国アメリカⅡ』(岩波新書)を書いた堤未果さんに聞いたのだが、アメリカでは「過激思想取り締まり法案」っていうものすごい法律が審議されていているという。これが成立すれば、権力側がこいつの考えは過激だと思ったら、監視したり逮捕できる。アメリカが自由の国というのは、もはや幻想に過ぎないようだ。
そんなアメリカに従属して、普天間基地移設問題一つ思い通りにできない日本も、言論の自由は日に日にやせ細っていっている。映画「ザ・コーブ」上映中止騒動などを見ていると、そう思わざるをえない。映画「靖国」のときもそうだったが、反日的だとか、描き方が一方的だとかといって、上映させないというのは、やってはいけないことだ。
見たい人が見て、それから大いに議論をすればいい。上映させないというのは、国民の知る権利を弾圧する行為だということが、反対している連中にはわからないらしい。ドキュメンタリーというのは、作り手の主観が必ず入るのだ。マイケル・ムーアの一連のドキュメンタリーなどがその好例だ。どうしても上映する館がないなら、ネットで有料上映したらどうか。
噂の域出ない「スキャンダル」
さて、週刊誌はいまもなお、小沢一郎前幹事長が参議院選挙後に復権するかとか、菅直人首相に女性やカネの問題がないかとか、その類の記事が満載である。
「週刊朝日」は、小沢を20年研究しているという親小沢ジャーナリスト渡辺乾介氏を起用して、小沢の肉声を語らせている。当然ながら、小沢は「復讐」するとし、そのときは菅内閣と民主党は大海に浮かぶ小舟の如く大揺れになると予言する。
「週刊現代」は参議院選挙で民主党が圧勝すれば、小沢の復権はないと見るのだが、参議院選挙の候補者も含めて、ほとんど決めたのは小沢なのだから、勝てば勝ったで、小沢支配から脱却とはいかないのではないか。
菅首相についても、様々な角度からスキャンダルを探そうと躍起である。「週刊文春」はストレートに「自民党が暴露した醜聞」と、取材源を明らかにして「菅直人『オンナ』の噂を追う」とやっているが、その中身たるや、本当に噂の域を出ない。赤坂にあった韓国クラブのママと付き合っていて、隠し子までいるというのだが、根拠は薄弱。亀井静香が仙谷由人と郵政改革法案を巡って激しい言い争いを繰り広げていたとき、亀井が、「議員会館にいる菅のオンナのことをばらすぞ!」といい放ったというエピソードも出てくるが、官邸が各所に問い合わせしたが、わからないままだという。
「週刊新潮」は、菅首相が「政権交代をめざす市民の会」(神奈川・相模原市)なる政治団体に5000万円を寄付していたが、このカネが選挙の時の事前運動に使われたのではないかという疑惑を追っているが、読む限り、政権を揺るがすほどのものにはなりそうにない。