マンネリ化が叫ばれて久しい小さな国会に、新風を吹き込む新人議員がやってきた。「今後10年間は消費税の引き上げを禁止します」というマニフェストを提唱するのは、いまを時めく経済評論家の勝間和代。赤い絨毯を敷き詰めた議場に、ロードバイクでよろよろと乗りつけるという、前代未聞のスタイルである。
自転車こそエコ
さっそく政策の説明に取りかかろうとする勝間に、視聴者代表の田中裕二秘書(爆笑問題)が、「(まず)自転車での登場を説明して」とクレームをつける。勝間曰く、「エコエコ言うけど、本当のエコは自転車に乗ることだったりする。エコカー減税といったごまかしではなく、まっとうな政策をしようというのが自転車にこめられたメッセージ」と大きく出て、威勢の良さをアピールする。
勝間は、消費税をあげなければこの国はすぐ倒れるようなことを政治家や財務省は言うが、それはウソであるといった主張である。「国の借金900兆円」といっても、日本はけっこうな資産家なのであるから大丈夫――といった話は、番組常連の経済アナリスト/獨協大学教授の森永卓郎もよくしているものだ。
米国債を売り払い、独法は廃止、資産を売り払って「きれい、さっぱり、すっきり」しようという勝間に対して、番組常連の政治コメンテイター、金美齢が噛みつき、「女の闘い」が盛り上がる。このごろの対決といえば、森永VS金がメインだったので、一応は新カードとなる。もちろん、「国っていうのは、いざっていうときにお金が必要になる」「10年も消費税あげないなんて笑止千万ですよ」という金との議論は噛み合わない。
視聴者的には、勝間がいまにも「だめだ、これ」とかなんとか言いだしそうで、そういうプレシャスな瞬間を待ちわびた。だが、勝間は「すぐに感情論に持って行ったり、国は大事だという話にしたりすると、議論はなりたたない」などと、太田光総理(爆笑問題)ばりの青筋を立てて、まくしたてるのみだった。
結局、同法案は小さな国会で否決されたが、番組のカツマー(勝間フィーチュア)ぶりを考えると、もしかしたら、番組では消費しつくされた感のある森永センセイに代わって、勝間センセイが抜擢される日も近いのだろうか。一方的にまくしたてる勝間に対して、ソーリはじめ、他の出演者がしらけ気味に映ってるように見えたのが気がかりだが、たぶん思い過ごしだろう。
ボンド柳生
*太田光の私が総理大臣になったら…秘書田中(日本テレビ系)