私が知る限り、半年間で10万部伸ばした週刊誌は、『フライデー』『フォーカス』の他にはほとんどないのではないか。その快挙を、『週刊現代』が昨年下半期に成し遂げた。
では、なぜそれほどまでに急増できたのか、今回はその「謎」に迫ってみた。
盛りだくさんの特集と圧倒的ボリューム感
まずは、手に取ったときのズッシリ感がすごい。グラビアも記事ページも、他誌に比べるとやや厚手の紙を使い、量感を出しているようだが、この「ズッシリ=お得感」は、340円だがペラペラで、フライデーのような新潮より60円も高いことを、一瞬忘れさせてくれる。
巻頭グラビアは、博多の夜を楽しむ店やバーをてんこ盛りで紹介。次に、5月26日から国立新美術館で開催されている「オルセー美術館」の名画紹介。第3の企画は、先週から始まったモノクログラビア&インタビュー特集。今回は俳優の中井貴一。「日本人は今、元気がないですよね。新しいチャレンジをしようという気概もない。危機意識もあまりない。日本は今、極めて危ない状態にあると思っています」という言葉が、彼から出てくるとは。いいね!
後半のモノクロは、キャシー中島が1年前に亡くした娘との思い出が詰まった写真とインタビュー。カラーが、上田桃子をはじめとする「美しきゴルファーたち」と森高千里のセクシーショットと盛りだくさんで、グラビアのボリュームは他誌を圧倒している。
巻頭記事は、よく飽きないと思うほど、毎回毎回、鳩山由紀夫首相への悪口雑言大特集。今週は「世にも恥ずかしい民主党政権」
普天間基地移設問題で、沖縄県民にまっ赤なウソをついていたことを、「国民への冒涜だ」と迫り、赤松広隆農水相が、宮崎で口蹄疫に感染した疑いがあるのを知りながら外遊していた危機意識のなさを「絶望的だ」と嘆いている。ご両人とも責任を取って辞める気はさらさらないようだが、とくに鳩山さんは馬耳東風。
「あの人はブラックホールみたいなものです。批判だろうが不満だろうが、何をぶつけても全部吸収してしまい、何も返ってこない」と民主党議員の一人が嘆いている。
この特集の中で、平野官房長官が「徳之島移設」で交渉していた相手は、「不動産詐欺師」だったとスクープしているが、コトの本質を抉っている記事ではない。「総理、結婚詐欺師じゃないんだから…」では、これまでの発言と、政権を取ってからの発言のブレを追及しているが、目新しい内容はない。
最後に、反民主・非自民の支持を集めている「みんなの党」が、比例で1000万満票以上獲得するといわれているが、この党は信用できるのか、参議院選挙後、小沢民主と手を結ぶのではないかという「危惧」をぶつけている。江田憲司幹事長は「連立はやりません」と言い切っているが、信用していいのだろうか。
この大特集からは「鳩山辞めろ」という「執念」のようなものは感じられるが、全体に総花的で、新事実がほとんどないのも不満を感じる。