<爆笑問題のニッポンの教養(NHK総合火曜)>爆笑問題が最先端の研究を進めている学者と本気でトークを繰り広げる番組で、リハーサルなしのぶっつけ本番。どのような質問が飛んでくるか分からないので、学者側からすると緊張する番組となっている。
河野教授「あってはならない」
今回登場したのは東京農業大学で発生生物学を研究している河野友宏教授。発生生物学なんて難しそうに聞こえるし、実際、難しいのだが、意外に私たちに身近な学問らしい。
哺乳類はオスとメスの交配によって新たな個体を産み出す――と一般的には認識されているが、河野教授はその常識を覆す。メスとメスからネズミ(KAGUYA)を誕生させることに成功したのだ。
では、これを人間に適用することが可能になったら、男性はいらないということ? 「いや、そんなことがあってはならない」と河野教授は言う。KAGUYAの誕生も、染色体のマーキングの謎を解き明かすために実験されたもので、決して人間に当てはめることを想定して実施されたものではない。
では、なぜネズミはOKで、人間ではしてはならないのか。そこには学者にとってのネズミと、私たちにとってのネズミに大きな認識の差がある。河野教授にとって、ネズミはあくまで実験動物なのである。
しかし、実はネズミで可能なことは人間でも可能らしい。太田光が「じゃあ、実験人間をつくればいいじゃないか」と突っ込んだが、挑発発言とはいえ、なんとなくそういう世界が出現しかねない怖さはある。
しかし、河野教授はKAGUYAを誕生させる研究を重ねるなかで、こんなものが産まれてもいいのかという思いを抱いたという。命のことをもっと知りたい、でも全てが分かることはいいことなのか、そのジレンマに悩むという。
私にはたとえネズミでも、実験動物として扱うことがいまひとつ理解できない。この番組であらためて何かを研究をすることの奥行きの深さ、その難しさ知った。
YUKK