放送局が地味なら、内容もなんとも地味で、ひねりも驚きもないのだが、昨年秋の放送スタート以来ジワジワと人気が広がっているのが、テレビ東京系で木曜夜7時58分から放送の「空から日本を見てみよう」だ。番組内容はタイトルのまんま。空から撮影した都心・近郊の街の映像を道路や線路に沿って紹介し、奇妙な建物があると、スタッフが出かけて行って内部を撮影取材し、空からの映像とドッキングさせるというだけ。たとえば、これまでに「国道246号線」「スペシャル『中央線』」「阪神工業地帯」「東武伊勢崎線」「東名高速道路」などが放送された。
人気が広がっている理由ははっきりしている。自分の住む街、仕事で通る街はもちろん、場合によっては自宅までが登場するからだ。放送を見ながら、「あれがお父さんの会社のビル」とか「ウチが映った!」なんてやっているのである。近くに住んでいるのに、案外知らない名所や旧跡、施設などがあって、いわば「空からの『ちい散歩』」になっているのだ。もう1度見たいという要望も多いらしく、6月半ばまでに6本のDVDが発売される。
こんな番組をゴールデンに1時間も放送するテレビ東京系の「割り切り」はすごいが、なにしろ制作費はかからない。お笑い芸人を集めてバカ騒ぎするだけのバラエティー番組にうんざりした視聴者に、これからも広がっていきそうだ。(テレビウォッチ編集部)