米海兵隊の役目は「在留米人救出」 じゃあ抑止力ってなに? 

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   迷走する沖縄・米軍普天間基地移設問題は、鳩山首相が「最低でも県外」とせっかく提起したのに、わずか半年でギブアップし、かつて日米合意していた名護市の辺野古沿岸に話を戻しつつある。

   首相はその理由について米海兵隊の『抑止力』を挙げたが、そもそも沖縄にいる米海兵隊の役割とは何か。日本にとって本当に抑止力になるのか。番組キャスターの赤江珠緒がこの根本的な疑問を取り上げ、喧々諤々の議論になった。そこから見えてきたものは、海兵隊の最大の役割は在留米人の救出で、どうやら『抑止力』は日本の錯覚らしい。

日本人は後回し

   論争に火を付けたのは、元朝日新聞社会部記者で軍事ジャーナリストの田岡俊次。インタビューで赤江が「日本は米国に守ってもらっていると言われていますが…」との問いに、次のように答えた。

   「そこに変な刷り込みがあるだけで、自衛隊に比べれば在日米軍なんて何ていうこともない。中国に対する抑止力をいう人がいるが、米国は中国とすごく親密で、米国にとって中国はすごく大事だ」

   「沖縄にいる米海兵隊は普天間にヘリ部隊、キャンプ・シュワブには歩兵部隊もいるが、800人から1000人程度。暴動とか内乱のときに在留米人を助け出すのならなんとかなる程度だ。しかも、救出の優先順位は決まっていて、1位が米国人、2位がグリーンカードの永住許可持っている人たち、3位が面白くて英国、カナダ、豪州、ニュージーランドのアングロサクソン4か国、5位はその他で、この『その他』に日本人が…」

   これには赤江は「エ―ッ、ショックですね」。

   この優先順位については、赤江がインタビューした元防衛大臣の石破自民党政調会長も1位が在留米国人であることを認めており、在留日本人はせいぜい「在留米人を救出した後、空席があればついでに助けてもらえる」程度なのだという。

   アメリカが当事者になって戦争を行っており、紛争地では在留米国人はいわば敵国人、助けに行かねばならない。が、日本人は敵国人でないので慌てて逃げる必要ないという理屈という。

   この程度の『抑止力』しかないのに、沖縄の米軍基地の大半はこの海兵隊の前線基地で、漁業すら規制され満足にできない。それだけの犠牲を払っているのに、救出の優先順位は『その他』の分類とは!。

   スタジオでは、ジャーナリストの鳥越俊太郎が「鳩山さんは誰からレクチャーを受けたのか? 『抑止力』という言葉は『魔術』というか、縛りから出ることができない。竹島は韓国に占領されているが、海兵隊は出ていかない。抑止力はないのだろう」と、矛盾だらけの抑止力を指摘した。

   作家の吉永みち子も「有事にすぐ出動してくれると日本は思っているだけで、どういうことが有事なのか、問いなおす政権は今までなかったし、有事について日米間できちっと詰めていなかった気がする。今回冷静に考えるいい機会と思う」と指摘した。

文   モンブラン| 似顔絵 池田マコト
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