鳩山首相が沖縄を訪れて得たものは、県民からの怒り、落胆、怨嗟の声だった。なかでも沖縄県民が強く反発したのは、首相が発言した「公約の定義」と「抑止力」についての文言だという。番組は、このキーワードに込められた稚拙な首相の問題意識を取り上げた。
学ぶうちに…
沖縄訪問中に県民を怒らせた首相の発言、その1は…
「公約というのは選挙の時の党の考え方ということになります。私自身の(発言)は代表としての発言ということになります」
首相は昨年7月に沖縄を訪問した時に、普天間基地の移先について「最低でも県外」と発言している。ところが、「これは党の公約ではない」というわけだ。しかし、その後の言動と照らし合わせても、こんな『鳩山流公約の定義』が世の中に通るはずはないことは明らかで、しらじらしい言い訳にしか聞こえない。
発言その2は、県民をもっと激怒させた。
「学べば学ぶうちに、沖縄に存在している米軍の存在全体のなかで米海兵隊の役割というものを考えるとき、それがすべてに連携している。その中で抑止力というものが維持できるという思いに至った」
いまさら何を!と言いたいが、それとも海兵隊だけならいなくてもいいのではと軽い気持ちだったのか。日本の外交、軍事の要になっている日米安全保障条約、日米同盟の意義そのものすら学ばずに、何年も政治家を続け、首相までなってしまったのかと疑いたくなる。
スタジオでは、テレビ朝日コメンテーターの三反園は「首相は、以前は聞く耳を持っていなかったのではないか。それが厳しい現実に直面した時にはじめて勉強し、学ぶ姿勢になったのだと思う」とあきれ顔だ。
漫画家のやくみつるも「いま抑止力というのは、100の抑止力が必要か、70でもいいのか、65でもいいんじゃないのか、首相はそういうご進講を受けてほしかった」と、いち夜漬けのような勉強を批判する。
キャスターの赤江珠緒が「中途半端に沖縄の『腫れもの』に触ったばかりに、化膿した状態になってしまいましたね」とズバリ指摘。そこには「それでも首相か!」という無言の響きも…ただ、沖縄県民の思いをここで途切れさせていいのかという国民の声も高まってきている。
三反園は「今回の沖縄訪問は、先送りのための口実づくりに終わったと思う。アメリカとの協議も時間が足りない。もう1回期限を区切ったうえで、日米協議をするということに落ち着くのでは」と予測する。バカにされ、ケチのついた「鳩山首相続投」で、アメリカとの交渉に当たるのが適切なのかどうか。