新潮社は、国際政治経済情報誌「フォーサイト」を来年3月に休刊することを決めた。読者へ直接届ける年間購読雑誌で、発行部数は2万部程度だったが黒字化が望めないので、創刊20年目を区切りに決断したという。
今年の休刊誌は170誌を超える。出版界は2兆円産業といわれてきたが、今年は2兆円を割り込むことが確実だそうだ。1996年に2兆7000億円弱までいった売上げが、この13年間で7000億円も減ったことになる。
「中国への朝貢外交」
今日(12月17日)の朝刊に、講談社が100周年を迎えたという一面広告が載っていた。OBとしては嬉しいことだが、講談社も、ここ10数年で700億円も売上げを減らし、今年の11月決算では、創業以来の大幅赤字になるといわれている。
社員のボーナスは3割カット、役員以上はゼロだそうだ。めでたい100周年を迎える会社にしては寂しい内情である。
出版界が抱える最大の問題は、本が売れなくなればなるほど新刊点数が増えるという、まか不思議な構造にある。89年に3万8000点だった新刊点数は今年は8万点近くになる。
負のスパイラルから脱却するには、この構造的な欠陥を根本的に変えなければ無理だが、いまのところそうした動きは見えない。
さて、今週の文春、新潮が小沢一郎幹事長に怒りまくっている。宮内庁が主張した1か月ルールを踏みにじって、習近平副主席を天皇に会見させたことについてだ。小沢は虎の尾を踏んでしまったようだ。
新潮は「『天皇陛下』を中国共産党に差し出した『小沢天皇』の傲岸」、文春は「小沢と鳩山は天皇に土下座して謝れ」と、戦前の週刊誌かと見間違えるようなタイトルで、小沢のやり方を非難している。
どちらも、小沢幹事長が訪中した際、胡錦涛主席と民主党議員との個別のツーショットを撮ってもらえることと引き替えに、ルールを無視し、鳩山首相と平野官房長官を恫喝して、天皇に会わせたことに怒り心頭だ。
羽毛田信吾宮内庁長官が、緊急記者会見を開いて「大きくいえば陛下の政治利用ということ」だと批判したのを受けて、小沢幹事長が、「国事行為は、内閣の助言と承認で行われるんだよ。天皇陛下のお体が優れない、体調が優れないというならば、それよりも優位性の低い行事はお休みになればいいじゃないですか」と反発したことで、火に油を注いでしまった。
まず、国事行為について。「皇室外交は『国事行為』ではなく『公的行為』です。政治家を何年もやっていて、こんな基本的な間違いをすること自体、皇室外交に対して、いかに無知かを晒け出している」(静岡福祉大学高橋紘教授・文春)
天皇の政治利用については、「今回のことは天皇の政治利用そのもの。輪をかけるように小沢さんは140人もの議員を連れて訪中している。これはまさに朝貢外交で、自ら中国の支配下に入るようなものです」(日本大学百地章教授・新潮)とバッサリ。
「判断は間違っていなかったと思う」と発言した鳩山首相には、アナタが総理になったことが、大間違いでした(新潮)とにべもない。