<テレビウォッチ>「昭和もはや遠くなりつつあるのだろうか……」
12月14日来日する中国の習近平国家副主席と天皇陛下の会見を鳩山首相がルール違反を承知でゴリ押し、決めてしまった。
象徴天皇のあり方に関わると懸念した宮内庁の羽毛田信吾長官が11日、急きょ会見。それによると……
外国の要人が天皇陛下と会見するには1か月前までに宮内庁に打診するという『1か月ルール』がある。高齢で多忙な陛下の負担を軽くすることと相手国への公平・中立性を考え決めたことだ。
そのルールを無視して外務省から打診があったのは11月26日。宮内庁はルールに照らし「応じかねる」と断り、外務省もいったんは会見見送りを了承した。
しかしその後、平野博文官房長官から強い調子で2度にわたり要請があり、立場上官房長官の指示に従わざるを得ず羽毛田長官は受け入れたという。
問題は、国の政治的案件に陛下を利用するという「天皇の政治利用」につながりかねないという懸念。しかもゴリ押しによって。
先の戦争でさんざん軍部に利用された天皇の『統帥権』。その反省の上に立って決められた『象徴天皇』。選りによって中国の要請でその「あり方」に懸念が生じるというのも皮肉な話だ。
鳩山首相のゴリ押しの背景には、小沢幹事長が同党の国会議員143人を引き連れた訪中と重なる。小沢幹事長が中国側の要請を受けて会見実現を鳩山首相に働きかけたようだ。
スタジオでは、戦前生まれのキャスター、みのが「ルールは理由があってつくられていることなんですがね~」と。
これにTBS解説室長の杉尾秀哉が「表に出なければこんなに問題にならなかったんでしょうがね~。長官の言い分としては、大国であろうが小国であろうが差をつけるべきでない。だから1か月ルールがあると……」。
さらに国際金融アナリストの末吉竹二郎は「中国は21世紀に大国になって世界に影響を与える国。その国家主席となれば日本を含め非常に影響を与える人。そういう人が日本に来られて(陛下に)会うことは決して悪いことではない」。
いずれも、問題のピントがちょっとずれていないか。あの忌まわしい戦争の実感はないということはこういうことなのかも……
それにしても、天皇のスケジュールまで変える小沢幹事長の剛腕ぶりもここまでくると呆れる。むかし天皇の座をすげ替えた権力者の歌を思い出す。
『此の世をば我世とぞ思う望月の 欠けたることもなしと思へば』。だんだん近づきつつある心境か。