<東京DOGS>天下の月9である。天下の小栗旬と水嶋ヒロの二枚看板である。が、どうもピンと来ない。脚本は福田雄一だが、話題になった昨2008年のフジの土曜深夜枠「33分探偵」も私のツボにはヒットしなかったので、相性が悪いのかもしれない。
ニューヨーク市警帰りのエリート刑事・高倉奏(小栗旬)と元暴走族の落ちこぼれ刑事・工藤マルオ(水嶋ヒロ)のふたり。頭脳明晰な堅物と体育会系の熱血男がケンカしながらも友情で結ばれ、名コンビで事件を解決していく、というのはもう定番中の定番だ。
脱力面白ポイント
福田雄一らしく、いくつかの「脱力面白ポイント」がはめ込まれている。その確信犯的に取って付けた感じがどうも……。好きな人にはピタッとハマるのかもしれないが。
その1:敵との戦闘がたけなわになったところで、つまらないことで言い合いをする。例えば、シャンプーの後トリートメントするかどうか。
その2:事態が緊迫したところで、奏の携帯に母(田中好子)から「奏ちゃーん、ママ困ってるのオ」とのんきな電話がかかってくる。
その3:女刑事(大塚寧々)は、上司(三浦友和)が言えば、自分が言ったこととまるっきり反対のことをすかさず「そうそう、だから○○なのよ」と平然とくり返す(これはちょっと面白い)。などなど。
水嶋ヒロが今までの役柄と正反対、合コン大好きデカで精一杯暴れているが、ちょっとカラ回っている感じがしなくもない。アメリカ仕込みの合理主義がズレていて笑いを呼ぶはずの小栗旬も、何だか笑えない。ただ、小栗のアクションはすばらしくキレがいい。派手ではなく、小さい動きをスピードに乗せて、それでダメージを与えるやり方は、暴力のプロっぽい。
それでも続けて見ているのは、キーパーソンである「神野」の謎が気になるからだ。由岐(吉高由里子)ちゃん、早く思い出してね。
もうひとつ、気になって仕方がない謎がある。提供の1社、旭化成のCM映像に流れる歌「何億光年かがやく星にも寿命があると教えてくれたのはあなたでした…」。
「光年」って、光が真空中を1年かかって伝わる「距離」のことでしょ? これじゃあ、まるでながーい「時間」みたいじゃない? だが、天下の理系企業の旭化成のことだ。間違えるはずがない。しかも、宣伝部が気に入っているのか、このシリーズも長い。
もしかして、「何億光年も遠い彼方にある星も消滅する時がある」と言いたいのか? それなら、とっても近い月だって消滅する可能性には違いがないし……と考えると、私の極度に文系の頭は混乱し、ドラマの内容どころではなくなってしまうのである。<テレビウォッチ>
カモノ・ハシ