民主党政権発足以後、矢継ぎ早に出してくる政策がことごとく波紋を呼んでいる。八ッ場ダム中止、モラトリアム法、そして、羽田空港のハブ空港化である。
八ッ場ダムは、長年にわたって苦しんできた住民感情と補償問題をどうするのか。モラトリアム法は、かえって銀行の貸し渋りをひどくさせないか。羽田のハブ化は、成田空港との棲み分けはもちろんのこと、騒音や高い離着料をどうするのか。
鳩山政権と景気への懸念
わずか2か月足らずで、民主党のやっていることを間違いだなどというつもりはないが、気になるのは、マニフェスト至上主義に対してだ。実情や住民感情を忖度せず、マニフェストに書いてあるとおりに何が何でもやり抜くのだという意固地さが、前原国交相などには見られる。
政治主導で決めるのは、見た目には格好いいだろうが、いいだす前に、他人の話を聞くという姿勢に欠けているように思うのだ。
このところの急激な円高と、期待ほどには上がらない株価。景気への有効な対策をとりえていない民主党政権に対して、親民主党派の現代までもが、「円高・株安・デフレパニックで二番底の恐怖 このままでは『鳩山大不況』に突入する──『子ども手当』じゃなく、即刻『おとな手当』を!」と、警鐘を鳴らし始めた。
同様に朝日も「民主党ブレーンたちが明かす 景気底割れ回避の『秘策』」と、現代よりトーンはおとなしいが、景気後退の危険性を訴えている。
中には、麻生内閣がやった75兆円の景気対策以上のことをやらないとダメだという意見もあるが、ムダを省き、子ども手当や高速料金無料化などの資金を捻出したい鳩山政権に、それを期待するのは酷なようだ。