<テレビウォッチ>一獲千金を夢見るトレジャー・ハンターが沈没船から金・銀、財宝ザックザク……。こんなニュースは滅多にあるものじゃない、と思っていたら最近は様子が違うようだ。
ギャングまがいの「ハンター」も
日進月歩の海底探査技術を背景に、海底の宝探しは収益力の高いビッグビジネスになっている。あげく機関銃を装備したギャングまがいのトレジャー・ハンターまで出没し、水中文化遺産の争奪戦の様相という。
畢竟、沿岸の関係国は自国の文化遺産を略奪の魔の手から守ろうと必死。ユネスコも「陸だけでなく海の文化遺産も守ろう」と、『水中文化遺産保護条約」を発効させた。
番組では、こうしたトレジャー・ハンターの宝探しの現状、沿岸関係国によるハンターとの熾烈な攻防にスポットをあてた。
大地震で海底に沈んだローマの古代都市。ナポリ近郊の海底に、皇帝の別荘が美術品を含めてそっくりそのまま見つかった。
中国・広東省の沖合では800年以上も前に沈んだ貿易船が引き揚げられ、総額10兆円を超える文化財が見つかっている。
スペイン・アンダルシア州の大西洋沖合には1200隻以上の沈没船があるといわれ、水中文化遺産の宝庫として知られている。
海底探査技術の向上で、考古学的な文化遺産の発掘は今や「陸」から「海」に移った感じだ。
そこで当然、発見が相次ぐこうした水中文化遺産はどこに帰属し、回収された美術品や財宝は誰のものかという疑問が湧いてくる。最近、次のような訴訟沙汰になったケースがある。
アメリカ・フロリダ州に本拠を置くトレジャー・ハンター会社『オデッセイ社』が2年前にスペイン沖の海底で、沈没船からスペイン金貨など500億円相当の財宝を発見。財宝をチャーター機でそっくりアメリカへ持ち帰った。
怒ったスペイン政府は、財宝は領海内で沈んだスペインの船から奪ったもので、「略奪」の罪で訴訟を起こし、係争中という。