<テレビウォッチ> 名古屋で3人目の死者が出るなど「本格的な流行」(舛添厚労相)が始まっている新型インフルエンザ。
厚労省や医療機関は盛んに「手洗いやうがいの励行」ばかりを呼び掛けているが、いったい新型インフルエンザ・ワクチンの準備は十分されているのか、拡大防止策は?
そんな疑問に、国立感染症研究所元研究員の岡田晴恵が番組に生出演し、答えた。
厚労省は、5300万人分のワクチンが必要としているが、はたしてこれで十分なのか。厚労省は10月中に接種を始める考えだが、年内に用意できるのは1300万~1700万人分ほど。
小木逸平アナが「5月に感染者が出たのにもっと早く準備できなかったのですかね。それに、何故もっと大量に作れないのですか~」と、厚労省の対策の遅さに苛立ちを。
この疑問に岡田元研究員は、国内のワクチン生産能力に限界があるからだと次のように語った。
「日本のワクチンは有精卵で作るので、卵を用意しなければならない。即時対応ができないのです。組織培養で作るワクチンの工場を現在つくっている最中で、今はその技術がない」
ところが、アメリカではすでに1億9500万人分の新型インフルエンザ用ワクチンが用意できているという。
週刊朝日編集長の山口一臣は「なぜアメリカにできて日本にできないの?」と。
岡田元研究員は「ワクチンは国民の命にかかわる『国防』の問題です。政府がメーカーをテコ入れし、政策としてワクチンの最新製造技術を導入して製造能力を拡充する必要があったがやっていなかった。
アメリカは、ブッシュ大統領時代から『国防』として、新型ウイルス対策をテコ入れしてきている。日本は与党のチームが始めていたが、道半ばで新型インフルエンザのほうが早く来てしまった」。
こうした『国防』意識の違いはワクチンの優先順位決定にも現れている。
アメリカでは、すでに7月に3段階に分けた優先順位を決めているのに対し、日本は「重症化防止」という大ざっぱな認識と接種はまだ先だから「9月中に順位を決める」と決定しただけ。
キャスターの赤江が「島国だけに水際作戦に力を入れてきたが、アメリカは新型ウイルスが入ってくることを前提に対策を取っているんですよね~」。
呼応してジャーナリストの大谷昭宏が「水際作戦は失敗したのにね~」。