警察・検察はお墓に出向くか 足利事件17年ぶり釈放

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   <テレビウォッチ> また冤罪事件である。1990年5月に栃木県足利市で女児が殺害され事件で無期懲役が確定し、千葉刑務所に服役していた菅家利和さん(62)が釈放された。

あとで冤罪と分かったら

   逮捕のキメ手とされたDNAを再鑑定した結果、女児の肌着に残っていた体液の型と菅家さんの型が一致せず、「無罪を言い渡す明らかな証拠の発見があった」として、刑の執行を停止したのだ。

   事件発生の翌91年12月に逮捕、勾留されてから17年半。釈放された菅家さんは記者会見で次のように語った。

   「間違ったでは済まない。警察や検察は絶対に許しません。ショックで亡くなった父とずっと苦しんできて2年前に亡くなった母のお墓に出向き絶対に謝ってもらいたい」

   番組は、冤罪事件の恐ろしさ、司法のあるべき姿について取り上げた。

   まず、冤罪事件はなぜ起きたのか? 番組は、背景として79年と84年にも女児が殺害される事件があり、未解決となっていた点を挙げている。

   その焦りの中で起きた90年の女児殺害事件。しかも、3件ともパチンコ店の駐車場で行方不明になり、渡良瀬川の河川敷で遺体が発見されるという類似点があり、同一犯人による犯行との見方が有力だったという。

   焦りを感じていた警察は、行動に不審な男がいるという情報をもとに1年間かけて菅家さんの行動確認を行った。が、不審なシーンがない中でDNAが一致したために、任意同行を求め自白を強要したらしい。

   キメ手とされた90年当時のDNA鑑定技術は、神奈川歯科大の山田良広教授によると「当時は手作業でやっており、研究所が違えば結果も違う、判定する人が違えば違うというように、1つひとつのデキに差があった」という。

   そんなあいまいなDNA鑑定だったのに、なぜ過信したのか。フジテレビ解説委員の箕輪幸人は「指紋以外にDNAという新しい科学捜査の手法がでてきて絶対視したのでしょう」と。

   問題は、この精度の悪いDNA鑑定は89年から96年まで採用され、その間、死刑判決で刑が執行された人もいるという。

   犯罪学が専門の諸星裕・桜美林大副学長は次のように述べ、タメ息を……

   「この人死刑になっていなくてよかったな~と思う。もし3人の女児殺害を自供させられていたら死刑もあり得た。これは氷山の一角かもしれませんよ。日本の捜査の方法では……」

   また、諸星は捜査の在り方についてこうも言った。

   「容疑者の権利が日本はおろそかにされている。容疑者の調べを誰でもわかるように可視化して公正にやらないと……。警察は捜査の妨げになるといって(可視化を)許さないが、先進国の中でこの国だけですよ」

   裁判員制度が始まったが、キャスターの小倉は「あとで冤罪と分かったら、一般の裁判員でも責任が相当のしかかってきますよ」と。

   これを契機に司法制度改革を本気でやらないと、いろんな意味で多大な被害に遭うのは国民だ。

文   モンブラン| 似顔絵 池田マコト
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