<テレビウォッチ>自民党が公約していた年金の「現役時代の50%支給」が、先週厚労省が出した試算ですっかり怪しくなった。2050年には、「モデル世帯」だけが唯一 50%台を維持するという。では、そのモデル世帯はどれくらいあるのか?
このモデルというのは、(1)20歳までに結婚した同い年のカップル(2)結婚生活40年(3)40年間夫は会社員、妻は専業主婦、というものだ。
見ただけで、「そんな夫婦いるのか?」「どうやって食っていく?」と思ってしまうが、5月27日の「朝ズバッ!」でも「こんな世帯はほとんどないのでは?」といわれた。
きのう(6月2日)の民主党の厚生労働部会でも、蓮舫議員が「どれくらいの割合か」と切り込んだが、厚労省は「わからない」。さらに「モデルの意味がないのでは」と問われたが、「物差しを変えるのは、物差しとして意味がなくなる」としれっと答えていた。
そこで「朝ズバッ!」が専門家に試算を頼んだ。統計上は、2050年に65歳になる人口(1985年生まれ、現在24歳)は144万2590人。群馬大の青木繁伸教授は、05年の20歳の既婚率などから「607.6組」と割り出した。
さらに、「20歳から40年間会社員」の条件を、「非大学進学率」「厚生年金継続率」に当てはめると、「4.24組」となった。さらに妻がずっと専業主婦である割合49.5%から、モデル世帯は「2.1組」。
加えて、離婚しないことも条件だから、離婚率25.7%(4組に1組)で修正すすると、なんと「1.56組」になってしまった。144万人中これだけ。「50%支給を確保できるのは、0.00021%」だった。
これはもう、モデルなんてもんじゃない。青木教授も、「計算しているうちに、無意味さを強調するだけになってしまうという気がした」という。
みのもんたが、「公務員試験を通った優秀な官僚が、99.999%ありえないケースをモデルとしたのはまずい。モデルの意味がわかってない」
与良正男が、「だから若い人が掛け金を払わなくなっている。いまの制度はダメとわかったわけだから、次をどうするかを考えないと。選挙の課題にしないといけない」と。
まったくだ。制度も役人も破綻してるんだから、それをなんとかできる政治家を選ばなくちゃいけない。