久しぶりに新潮がやってくれました。昨日(5月13日)の新聞朝刊、それもほとんどの一面に、「鴻池副長官 辞任の公算」(朝日新聞)と出ていました。朝日新聞を含めたほとんどの新聞が、「週刊新潮(5月21 日号)が報じる」と、出典を明らかにしていたのに、読売はいつものように「13日発売の週刊誌によれば」報道。遅れているねこの新聞は(夕刊では新潮と明記していた)。
私の記憶によれば、週刊誌のスクープが新聞の一面を飾ったのは、『噂の真相』が則定衛高検検事長の女性スキャンダルをスクープした際、朝日新聞が一面でこれを扱って以来ではないか。
副長官が「涙目懺悔」
今回の記事、「愛人同伴『ゴルフ&温泉』の小旅行でGWを謳歌した『鴻池官房副長官』涙目懺悔録」と長いタイトルが付いた4ページの記事と、「熱海の恋の物語」というグラビアで、仲睦まじい2人の後ろ姿や、ゴルフに興じる姿が掲載されている。
実は、この御仁、1月にも、議員宿舎に人妻を泊めていたことを新潮に暴かれたのだが、その時は、麻生首相の30年来の友人だったためか、逃げ切っている。
W不倫、源泉かけ流しの半露天風呂付豪華スイート、ツーサム・ゴルフに食事は百歩譲って、男だものと理解してやってもいいが、熱海に出かけた日の16時からは参議院の本会議があり、翌々日は、新型インフルエンザ問題で、朝8時過ぎから、桝添厚労相や河村官房長官らが官邸で、対策本部幹事長会を開いているのだが、鴻池祥肇官房副長官が旅館を出たのは朝8時30分。それも、熱海駅で切符を買わず、国会議員の特権と批判されている「JRパス」を使って乗り込んだのである。公私混同などというも愚かだ。
動かぬ証拠を突きつけられた鴻池氏、何とか記事を止めてくれないかと、記者に懇願し、それがダメだとわかると、自分の女好きのDNAの話しを始めるのだが、これが読ませる。
「ボク自身、どうしてなのかよう分からないんだ。ボクには祖父さんの代からのDNAがあってなあ。親父さんも同じで大酒飲みやし、女癖が悪かった。そのDNAがボクにもあるんや。ボクも大酒飲みやし、あのタレントの草なぎと同じように、飲み過ぎては失敗してきたしね」
その上、男と女の情の不思議さまで講釈している。「いや、男女というのは難しいもんですよ。もうこれ以上はあかんあかん思てても、情が深くなってくるとズルズルとね。毅然としなきゃいかんかったんですよ」
綿密な取材、当事者からの十分な聞き取りを含めて、久しぶりに新潮らしさがよく出た記事である。これほどのことができるのに、なぜ、「朝日新聞阪神支局襲撃犯」などという虚言癖の男に手もなく騙されてしまったのか。鴻池議員の男女の仲以上に不思議である。