女性雇用が崩壊? 「共働き世帯支えないと…」

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   昨今の世界不況が落とす黒い影については、さまざまな形で取り上げてきたこの番組。今回の放送「『共働き社会』が壊れる ~女性の雇用危機~」は、「女性労働(雇用)」という切り口が少々耳に新しい。

   2007年の総務省統計を番組が引用するところでは、『共働き世帯』は1013万世帯で『男性共働き世帯』を大幅に上回る。一家の生活設計も『共働き』が前提になってくるが、女性の雇用はパートなど不安定な形態が多く、『派遣切り』などに遭う女性も多いと見られる。そうなると、暮らしにも大きな狂いが生じる。

子育てしながら働く女性への企業の眼差し

   「全国各地でこういった家庭が増えている」と取材に当たったNHK記者。福島県のあるケースでは、派遣社員として長年働き、家計を支えていた妻が突然解雇されてしまった。マイホームのローンが払えず、差押えの危機。「誰だって、ウチを手放したくない」と妻は涙ぐむ。

   これとは逆に、勤める先があっても、また別の「壁」がある。夫と3人の幼い子供と暮らす大阪府の女性。夫の給料が減っていることもあって、働くことに。調理師免許があり、飲食店のパートとして採用内定。だが、子供を預ける場所がない。認可保育所は希望者多数で順番待ち。両親が働いていれば最優先のAランクになるが、内定段階ではBランクになり、入所できるまでは長そうだ。「働いてないと預けられない。預けられなければ働けない」(女性)

   兵庫県など一部自治体では、一種のワークシェアである「チーム・ジョブ」などで女性の雇用を創出する取り組みがはじまってるという。だが、賃金面など課題も多い。

   「企業側には、子育てをしながら働く女性はお荷物になる、という眼差しがあるように思うんですが――」と、国谷裕子キャスターは女性の労働に詳しいゲストの渥美由喜(富士通総研経済研究所・主任研究員) に問いかける。女性を雇用する積極的なメリットは? 経営者をどう説得するのか?

   渥美によれば、子供を持つ女性のような時間と場所の制約がある人たちは、業務改善のアイデアが豊富なのだという。女性が働きやすい職場は誰もが働きやすい職場となり、ひいては大介護時代に備える布石になる。国や地方自治体、社会全体が共働き世帯を支えることは、すなわち(日本の主流の)中流世帯を守り、育てることになる――。

   しかし、こうした遠大なコンセプトに、不況下の政治家や企業経営者にどれだけ耳を傾けるのかと考えると、これまで番組で取り上げてきた景気や男性雇用問題と同様に、直近の見通しは悲観的な感じである。

ボンド柳生

   * NHKクローズアップ現代(2009年4月21日放送)

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