沖縄の米軍基地の土地が、行き場のなくなったマネーゲームの投資対象になっている―こんなショッキングな実態を番組が取り上げた。
政府が毎年、米軍用地の地主に支払っている「補償」の意味合いの強い「軍用地料」。その額は毎年、確実に値上がりしており、本土復帰以来37年間で9倍になっている。
リーマンショック以降、利殖の対象に
ところが、相続税が支払えない地主が「軍用地」を手放すケースも増え、そうした「軍用地」が市場に出回って昨2008年9月のリーマンショック以降、本土投資家の利殖の対象になっているのだ。
麻生・オバマ会談で日米同盟強化が確認されたが、番組は安全保障の要となる沖縄の軍用地の歪んだ実態を放置したままでいいのか、と問題提起した。
それによると、沖縄の米軍用地の半数は個人所有の土地で、その数は3900人に上り、借地料にあたる「軍用地料」は年間1人当たり223万円という。
沖縄防衛局は毎年1回、これら地主と話し合いの場を持ち、値上げ率を提示する。この話し合いの現場にカメラが初めて入った。
沖縄防衛局の担当者が冒頭、軍用地の地主たちに提示したのは、地価が下落傾向にあるにもかかわらず、ほぼ一律1%前後の値上げだった。
軍用地は本来、法律で基地周辺の地価の動向を反映させ、客観的に決めることになっているはずなのだが、なぜ実勢が反映されないのか……
元沖縄問題担当首相補佐官の岡本行夫は「軍用地料の値上げはやむを得ない」と、その理由を次のように語る。
「基地は、将来に向かって不安定な立場に置かれていては成り立たない。安全保障という公共のための施設、しかし地元は必ずしも歓迎しないというものには、プレミアム(割り増し)をつけるのもやむを得ない」
強制的に土地を奪われた地主を納得させるために、国民の税金を使ってプレミアムを付ける必要があることは理解できる。
しかし、その土地が本土の投資家の利殖対象になっているとなると話は別だ。投資家は、利回りを継続して得るためにプレミアムがつく「軍用地」を大歓迎しているのだから……