<テレビウォッチ>とうとうやっちゃった。霞が関では、朝から酒臭いことを知らない人はいなかったが、イタリアではね。それもテレビにのって「日本の中川昭一財務相がG7で居眠りした」と世界中に流れてしまった。
映像を見ると、「よろしいしゅか?」という会見冒頭からろれつが回らない。隣の白川日銀総裁がじっと顔を見ている。「G7が昨夜から協議しまして……共同宣言みたいなものがでました。……オバマ政権に対して適切な財政出動してもらいたいということは、申しあげました」。
目もしょぼしょぼと半分閉じたような状態で、白川総裁の前のコップに手を伸ばしたり。口を開いても、「日銀の……金利は……低い状態でいらっしゃる」といった調子で、絶句してしまったり。質問する記者に、「どこだ?」といったり散々。
ローマで未明の会見、ということは、日本時間では朝早く。この間寝てないわけだから、時差がきついことはわかる。しかし、あの口調は時差ではない。永田町、霞が関では先刻ご承知のものだ。
小倉智昭が「時差ボケでここまではならんでしょう」 上杉隆は、「記者が『大臣、いつものようにお酒飲まれてるんですか?』と、聞かないといけない。また大臣の方も、パーティーでワインは出るんだから、ちょっと飲み過ぎたとか、眠ければそういえば、こんなことにならなかった」
小倉が「中川さんはあまりお酒飲まない人なんですか?」ととぼける。 上杉は「よく飲みますね。まわりはみんな知ってるんで、慣れちゃったんでしょうね。大事なのは、中川さんの身を守ることじゃない」
日本での会見映像でも、注意深くみていると、中川財務相がアルコールが入っているらしいことはみてとれる。ろれつが怪しいのも、よくある。それを放置している周囲にも、多いに問題がありそうだ。
1月28日衆院本会議で行った財政方針演説では、26か所も読み間違えがあり、それも「歳入」と「歳出」を間違えたりまでがあった。しかし、これが記事になったのは、財務省が議事録の訂正を申し出てからだった。要するに、だれも演説を聞いてなかったのか?
たしかに手はいくらもあったはず。「体調がすぐれない」と、白川総裁にまかせてもよかったし、周囲の判断が問われるところだろう。
小倉が、「中川さんともあろう人が、こういう姿をさらしてはいけない」といったが、「ともあろう」というほどの人じゃない。財務省が、いい機会だと放っておいたとすれば、相当な読みなのだが……