<テレビウォッチ>企業の人員削減が止まらない。ハローワークでは「求人の数はある」というが、埋まらない職がたくさんある。ために、「働く気があるのか」などの短絡した声もあるが、ことはそう簡単じゃない。「とくダネ」が珍しく「職のミスマッチ」という硬いネタに取り組んだ。
暮れに派遣切りにあった男性(22)をカメラが追う。働くのは、特別養護老人ホームだ。昨2008年12月までは自動車部品工場にいた。「以前から興味をもっていた」という介護の仕事だが、食事の世話から下の始末までをこなす。
前の工場では18万円だった手取りが、15万3700円。夫婦と幼い子の3人暮らし。家賃5万円は、「厳しいけどなんとか」。何よりも、「仕事が楽しい。長く続けていきたい」という。
ビデオを見て小倉智昭が、「介護の現場をみると、大変だな、いきなりいってできる仕事じゃないと思う」という。
同じ施設の42歳の男性も似たような経緯で来た。しかし、彼は「他に仕事がなくて、ここに来た」という。求人倍率は全職種ではいま大きく1を割っている。が、実は介護職は2.5。にもかかわらず、介護職にはなり手がいない。先の就職フェアに来ていた男性(24)は、暮れの日比谷の派遣村にもいたのだが、いまだに職がみつからない。
介護関係については、「前は、残業を含めると手取り30万円もらっていたから」といった。社会福祉施設関係者も、「派遣からまわってくる人はいない」という。単に待遇が悪いというだけではなく、「マニュアルで働ける場所ではないから」だという。
淑徳大学の結城康博准教授は「景気が悪いときだけ介護に就いて、よくなると出ていってしまう。雇用の調整弁になっている」という。別に「食べるために働いていると、職業訓練を受けられない。それを受けられる仕組みをつくらないと」という指摘もある。
小倉が、「素人でも大丈夫ですよ。働きながら資格を、というのはなかなか」という。
レポートの熊谷麻衣子も「やりがいに頼っているだけではなく、待遇もよくしないと」
小倉は「喜びを見いだせる人ばかりじゃないからね。高齢化社会はわかっていたわけだから、国のミスでしょ」
竹田圭吾も「国のミスもあるし、社会の変化もある。台湾なんか、こういう仕事はみな外国人になってる。やりながらいい状況を目指すしかない」と、珍しく歯切れが悪い。
「いい状況作ってあげないといけないんでしょうね」と小倉。
福祉は現場を見ないとわからない。手厚い配慮が求められるが、国は逆にこの面の支出を削っているのが現状だ。