暗いニュース「明るくする」方法 売り上げも伸びる?

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   昨2008年秋から始まった不況の嵐は、年が改まって、ますます猛威をふるっている。もはや麻生首相の愚鈍ぶりを批判した雑誌など、タダで配っても読みたい読者などいないだろう。

   どの雑誌の目次を見ても、暗くなってしまう。こうしたときこそ、明るい、心がホンワカする記事を読みたいものだが。

「ワークシェア」掘り下げた「ポスト」

   だいぶ前になるが、アメリカの「USATODAY」という新聞が部数を大きく伸ばして話題を呼んだ。その新聞の編集方針は、事件、事故を報じるときも、明るい面を見るようにすることだった。例えば、飛行機事故で300人の乗客の内250人が死んだとする。他の新聞は「死者250人」と書くが、「USATODAY」は「生存者が50人もいた!」と書く。この編集方針が成功して、この新聞は全米ナンバーワンになった。日本のメディアも真似してみたらどうか。

   現代の大特集は「サラリーマンも経営者も必読!」と謳った「銀行に勝つ交渉術」。中味は、銀行から借りた住宅ローンは、銀行側と話し合えば、3~5年延長できる。教育ローン返済も延長できる、一括払いの期日までに入金できないようならクレジットカードはリボ払いにせよというものだが、目新しいものはない。なかでも、リボ払いは、自分の経験から、やめたほうがいい。さまざまな設定の仕方があるが、毎月の支払いが少なくて済むという「錯覚」で、毎月買っていれば、あっという間に限度額の100万円になってしまう。そうなれば、クレジットカードで買い物を絶対しないという強い意志がないと、毎月10万円を延々払い続けることになる。こうしたカードを2、3枚持っていたら地獄である。よしたがいい。

   ポストはサラリーマンの味方雑誌から、「ロスジェネ」世代応援誌に変えようとしているのか、その手の記事が充実している。「派遣村『美談のウラ』『怪しき人々』」はそこそこだが、「御手洗『ワークシェア』の正体は『悲願の正社員リストラ』だ!」は、経営者たちが取り入れようとしている「ワークシェア」という聞こえのいい言葉の実態は「労働者いじめ」に他ならないとして、夕方、タイムカードを押すと、再び席に戻り、『サービス残業』を続ける大企業社員の姿をルポしている。

   キャノンの内部留保は、02年3月末の9000億円から2兆8000億円と3倍にもなっているのだ。これはソニーもトヨタも同様だろう。それなのに、いま苦しいからと、派遣ばかりではなく正社員まで切り捨てようとしているのを許しておいていいのか。ポストの意気やよしである。


元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)ほか

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