パレスチナ問題とブッシュの関係 オバマは何とかできるのか

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   あと1週間ほどで退任する米国のブッシュ大統領は正当防衛の概念を大きく変えた功労者である。たとえば、札付きの男が銃を懐に隠し持っているらしいと聞けば、自分の身が危険だから射殺して問題なし。後になってその情報が間違いだったとわかれば「失望」はするが、その男はほかに人道に対する罪を犯していたのだから、正しい裁きであったのである。

   今回の放送「ガザ最新報告 停戦は実現できるか」で報告されたイスラエルの考え方も多分にブッシュ的である。ロケット弾攻撃などを仕掛けるテロリストがもしも住民の間に入り込み、隠れているなら、危険だから自衛のために住民ごと吹き飛ばす。それは住民を人質に取ってるテロリストが悪いのだから、致し方ないのである。

「和平の気持ちがあるかどうか」

   しかし、世界的には異論もある。「(パレスチナ問題の)構造を大きく変えることはできないのか」との国谷裕子キャスターの問いに、ゲスト出演した立山良司・防衛大教授の答えは明快だった。「現実にハマスが存在し、ガザを支配してる事実を無視して和平プロセスを進めることはまったく無理」なのである。

   1993年、穏健派ファタハ(PLO)が中心となって結ばれたオスロ合意。多々の前提条件をクリアした上で、「歴史的和解」の達成に至る運びだったが、それからもう15年。イスラエルの占領は長引き、和平は遠のくばかり――。一方、強硬派ハマスは終始オスロ合意からの和平プロセスを批判し、まずはパレスチナ国家を樹立することを訴え続けた。結果として、和平が進まないことに「絶望したパレスチナ人」からの同情や支持を集めてきた。

   さらにブッシュ政権発足後、「白か黒か」政策によって、ハマスをテロリスト組織だと位置づけ、一切認めなかった方針が和平プロセスを混乱させた一因であるという。

   そうはいっても…的に、反論気味な国谷キャスター。「ハマスは武装闘争を続けているイスラム原理組織。イスラエルの存在を認めないハマスに、本当に和平の気持ちがあるかどうか」

   ハマスのなかにも、いろいろな考え方がある、と立山。多くのハマスの指導者は、まずパレスチナ国家を設立したあとで、イスラエルと話し合う姿勢を持っているという。「アメリカのオバマ政権が耳を傾けるかも注目されますね」との国谷に対して、「それが一番重要ですね」と立山。結局のところ、世界の沙汰はそれ次第である。

ボンド柳生

*NHKクローズアップ現代(2009年1月13日放送)

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