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<WALL・E ウォーリー>地球上でひとりぼっちという設定は、そのたった1人(?)になってしまった主人公に、観客が感情移入できるだけの描写と説得力が必要である。しかし『アイ・アム・レジェンド』でもそうだったが、残された主人公が1人という状況をわりと楽しんでいるような描き方をしてしまうと、本当にこの人は寂しいんだろうか……と思いたくもなってしまう。
はっきり言ってしまうと、このウォーリーもそうだ。すでに700年もの間、ゴミだらけと化した地球に1人残され、毎日毎日掃除をしながら過ごしている。ところがこのロボット、なかなか楽しそうに毎日を送っている。作業の途中で発見した過去の人間の遺失物を自分のコレクションにするという楽しみを持っており、家に帰ると古いミュージカルを見て眠り、朝になるとまず自分を太陽光で充電するといった、一連の生活行動パターンができている。
ミュージカルのワンシーンで手をつなぐ場面があり、それを見たウォーリーはロボットのはずなのに感情が芽生え、仲間が欲しい、誰かと手をつなぎたい、という夢を持つようになる。ところが一連の行動パターンを見ていると、このウォーリーにイマイチ感情移入ができない。茶色く触覚がある虫と友達にもなり、このままでも良さそうに思えてしまうのだ。
しかしさすがはピクサー。映像の素晴らしさには毎度度肝を抜かれる。前半はウォーリーしか出てこなく、会話どころかセリフがない。それでも観客を楽しませることができるのは、もはや神業だ。
映画全体では環境問題や人間が今やるべきこと、できることを訴えている。後半になると舞台も変わり、随分と壮大な展開になっていくが、もうこの手の映画は純粋に見るべきである。愛らしいキャラクターたちが繰り広げる劇を楽しんで欲しい。
ジャナ専 巴麻衣
オススメ度☆☆☆