<テレビウォッチ>「雇用革命」とかで進められた規制緩和の結果、1700万人以上いるといわれる非正社員。その中で仕事ばかりでなく住まいまで打ち切られる派遣切りが続出している。
出番のはずの政治は、雇用対策を「政争の具」にするだけで、一向に実現しない。業を煮やした番組が「雇用問題に異議あり」(赤江珠緒キャスター)と取り上げた。
野党が提出した「雇用対策4法案」は、参議院厚生労働委員会で採択され衆議院に回されたが、細田自民党幹事長は「(野党の)雇用対策はほとんど社会主義です。全部、面倒見なければいけない……」と。
しかし、自民党議員の中には「うちがすでに出している雇用対策とおんなじ」という声も……。
一体、政府・与党案と野党案のどこがどう違うのか? 「私は異議だらけです」と口火を切って、獨協大教授の森永卓郎が解説した。
まず全体的な評価について「大ざっぱに言って、政府・与党案は『解雇はやむを得ないので再雇用を支援』しようという姿勢、一方野党は『首にしないで抱えて下さい』という思想になっている」という。
具体的には、内定取り消しについて政府・与党案が単に『悪質な場合は企業名公表』。これに対し野党案は『企業名公表』は同じだが、『内定した時点で労働契約したとみなし、法律で裏付けする』という内容。
また契約社員については政府・与党案が漠然と『不適切な解雇へ指導を強化する』に対し、野党案は『有期契約を結べるのは一時的な業務、専門的な業務に限り、普通の雇用契約は期限を定めない終身契約をメインにする』という内容。
作家の落合恵子は「株主配当をしても、内部留保を持っている企業はいっぱいあるじゃないですか。抱え込めないはずがないですよ」と。
これに森永は「もともと日本は、野党の考え方。働く人を人間扱いしてきた。今の経営者は労働力を(機械の)部品と一緒に見ている。いらなくなったら切ってしまえばいいという思想が着々と進んでいる」と。危なくなるとすぐに雇用調整に走る安直な経営者の姿勢に喝を。
ジャーナリストの鳥越も「そこが基本的な問題。日本の終身雇用が怖いアメリカが『年次改革要望書』で規制緩和を出してきた。で、終身雇用をやめて契約型に変えようと……僕は終身雇用をもう一度考えていいのではないかと思う」。
アメリカに言われて迷走し、アメリカ発の金融危機で大混乱する日本経済。カジ取り役の政府・与党は?? 緊急と言いながら掛け声ばかり。
赤江が「100年に1度の危機ですから、100年に1度の仕事をして下さい。お願いです」と訴えた。