(C)2008 DreamWorks LLC. All Rights Reserved.
<トロピック・サンダー/史上最低の作戦>アメリカのコメディ映画やパロディネタで笑わせる映画があまり好きではない人にとってみれば、はっきり言ってしまうとこの映画は興味対象外の作品になるかもしれない。NGワードやグロテスクな描写、ハリウッドの業界を風刺する表現や、差別だと言われかねないきわどいセリフ。全編通してやりたい放題である。
こういう映画ほどハリウッドってやっぱりスゴいと改めて思わせる。なにせこんな悪ノリしたような作品に90億円もの金をかけているのだから。しかもバカみたいに本気でこの映画は作られている。当然ながら戦場の爆破シーンは本物のようであり、戦争アクションの映画としても十分に見られるほどだ。
そしてなによりスゴいのが出演者たちが豪華であるということだ。主要キャストにはベン・スティラー、ジャック・ブラック、ロバート・ダウニー・Jr.の3人が顔を並べる。そのほかカメオ出演(特別出演)であっと驚くような豪華スター陣があちこちに登場する。写真にも写っていたりするので、目を凝らして見て欲しい。しかし一番驚くのはやはりあの人だ。誰もが知っている超大物がハゲでメタボの映画プロデューサーに扮し、お下劣言葉を連発している。それだけでも見る価値はあるだろう。
主演の他、監督・脚本・製作・原案と5役を請け負っているベン・スティラーだが、この映画はこの人がいたからこそ成り立ったのだろう。役者としては数々の映画をヒットに導き、今アメリカでは最も客を呼べる俳優の一人とされているが、監督としても評価が高い。ハリウッドで確固たる地位を確立した今、人脈で人を呼び、映画製作という現場・業界そのものを映画のネタにしてしまおうという彼ならではのアイデアが成功へとつながった。
パロディとブラックなジョーク満載だが、間違いなくこの映画はおもしろおかしく仕上がっている。そして彼なりの映画に対する愛情が窺える。映画が好きな人ほどツボにはまる作品かもしれない。
ジャナ専 巴麻衣
オススメ度:☆☆☆☆