<テレビウォッチ>「橋の下しか寝るところがない。アパート借りるにも仕事がないのに大家さん貸してくれますか?」「このままでは夫が自殺するかもしれません。退職強要をやめさせてください」
年の瀬、派遣社員、期間従業員など非正規労働者にとどまらず、正規社員にも及ぶ非情な嵐を『リストラ列島 雇用クライシス 08年冬』と題して取り上げた。
冒頭の最初の談話は、いすゞ自動車栃木工場から解雇予告があった期間従業員の話だ。
同工場の非正規従業員約400人が、会社から今月(12月)26日で解雇になると通告された。ほとんどが雇用契約を来年まで残しての解雇予告だった。
一方、正規社員も対岸の火事視している状況ではなくなった。もう一つの談話は、日本IBM労組に宛てた正規社員の妻からの悲痛な叫びである。
同社の労組の話では、「48時間以内に退職を決意しなければ解雇する」と、会社が正規社員に対し強要しているのだという。
凄まじい勢いで吹くまくる急激な「リストラの嵐」。で、政府は?と目を転じても、麻生首相は「年末の中小企業の資金繰りは大丈夫」と、追加経済対策は年明けに先送り。
その麻生首相が、経団連会長の御手洗冨士夫・キヤノン会長を官邸に呼び非正規雇用の維持を求めたのが12月1日。ほどなく、キヤノンのカメラ生産子会社、大分キャノンが請負会社の従業員を年内1000人超削減することを明らかにした。迷走首相の要請など聞けないと言わんばかり。
同志社大教授の村田晃嗣が次のような解説を長々と……
「派遣法には特約条項があって、特段の事情があれば契約期間以内でも解約できるというのがある。そういう特約条項を織り込んでの契約が労働者の権利を考えた場合、妥当なのか公序良俗に反しないのかという議論がある。しかし、企業側からすれば、それができないなら正規社員と同じになってしまうと……」
これに週刊朝日編集長の山口一臣が反論した。
「単純な話だ。売り上げが落ちたから従業員を斬っていいんだというなら経営者なんて必要ない。誰だってできる。必要な時に人を雇い、必要なければ解雇が簡単にできる法律が間違っている」
ジャーナリストの大谷昭宏が、中間を取って「小泉改革の間にどんどんこういったこと(法律)を通してきた。一方、いつやめてもいいので便利だと言っていた労働者もいるわけです。私たちも漫然と見過ごしてきたが、それが今裏目にでた。ここは政治の出番ですよ」。
しかし、その政治は先の述べたとおりで「政策より政局」。小木アナが最後に「日本ってものづくりの国、製造じゃないですか。そこが弱まってしまったら、さー、立ち直ったという時に何もなくなっていたでは……」と。