<テレビウォッチ>これもホームレスの話である。3食付きの刑務所で余生を送りたいばかりに、次々と女性を刺し、重軽傷を負わせたホームレスの老女が念願かない(?!)東京地裁で12月4日、懲役4年の判決が言い渡された。
「言い方はアレかもしれないですが、被告にしてみたら望むところになった……」(同志社大教授の村田晃嗣)。なんとなく釈然としない「罪と罰」にスタジオはため息が……
老女は無職の北川初子被告(79)。今年(2008年)8月22日夕、東京・渋谷の繁華街で、女性を果物ナイフで次々と刺した。その場で警察に取り押さえられた北川被告は「自分が刺した」と素直に犯行を認めた。
調べに対し北川被告が語った犯行の動機は「寝る場所もなく金もない。刑務所で過ごすことを思いついた」だった。
実は、刑務所で余生をと思いつき犯行に及んだのは今回が2度目。最初は都内スーパーでの万引きだった。このときは万引きを店員が気付いてくれず、自首に及んだのだが……警察が送り込んだ先は福祉施設だった。
ところが、騒音トラブルで半月も持たずに施設を出て再びホームレスに。
しかし、79歳の高齢にとってホームレス生活は辛い。そこで頭に浮かんだのが東京・秋葉原の無差別連続殺傷事件。
「(刑務所に入るのは)大きな事件を起こすしかない」(北川被告の供述)と思い、犯行に及んだのが女性無差別刺傷事件だった。
ジャーナリストの大谷昭宏は「仮出所した後どうするのか、きちんとフォローしないと、また繰り返す。高齢の受刑者が増えており、将来のことを見据えて矯正教育を考えないと意味がない」と。
老女の作戦勝ち??みたいな結末だが、一方、被害に遭った女性の中には、深さ10センチの傷がいまだに治らず、精神的に受けた傷も大きいという。