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<ダイアリー・オブ・ザ・デッド>山奥で映画を撮影していた大学生のジェイソンたちは、ラジオから流れてきた死者が蘇っているというニュースを聞く。はじめは半信半疑の彼らだったが、実際にゾンビに出会ったことで、目の前の惨劇をビデオカメラで撮影していくことにするのだが・・・。
ゾンビ映画の巨匠ジョージ・A・ロメロ監督は、本作で昨今流行のフェイクドキュメンタリー形式を用いて、情報化社会の功罪を訴えている。ゾンビが溢れかえり世界中が混乱すると、公共メディアが機能しなくなり、個人の主観に偏った情報がネット上に溢れかえる。この映画では実際にYou Tubeや携帯の動画、監視カメラやブログなどを登場させることでリアルさを追求している。メッセージを伝えるのが少し説明くさい部分もあるが、情報の発信者に求められるモラルや責任が希薄になっている現在の社会情勢を痛烈に批判している。
しかし、この映画でもロメロ監督のブラックなユーモアは健在で、学生達の撮っていたホラー映画と同じシチュエーションでゾンビに襲われたり、アーチェリーでゾンビと戦ったりするなど、血しぶきの中でクスリと笑わせる技はまさに名人芸だ。ほぼ手持ちカメラの映像だけで構成されているので、まるで自分がその場にいるかのような臨場感で、病院や洋館など、ホラーゲーム好きにはたまらない場所でゾンビと戦ったりもしている。
ホラーに社会批判とユーモアを絶妙に掛け合わせて、見ごたえのある作品に仕上げた、ホラー映画の良作といえる。
ジャナ専 ぷー(JJC漫画研究会部長)
オススメ度:☆☆☆☆