<テレビウォッチ>中島みゆきの夫になりすました男(71)の手口はかなり念がいったものである。
立花裕人リポーターが、被害にあった大阪・泉佐野市の不動産業の営業マンから聞きだしたところでは――300~400坪の別荘地が欲しい、と現れた男の装いは、オレンジ色のサングラスにグレーのハンチング、ゴールドの高級外国時計。「いかにも金を持っている雰囲気」(営業マンが受けた第一印象)だった。
男は「妻はポップス界のトップアーチスト」と言い、松田聖子、工藤静香、キムタクなど有名芸能人の名を次つぎと繰りだす。営業マンが「どんな業界の方ですか」と尋ねると、中島みゆきの資料をテーブルにドンと置いて「実は中島みゆきが家内だ」を話したそうだ。「(中島みゆきは)独身ではなかったか」という思いが、営業マンの頭をよぎったらしい。が、口には出さなかった。
海が見える現地を訪れた男は「いいロケーションだね」と、3800万円の土地購入を5分で即決したという。営業マンが運転する帰りの車中でいよいよ仕上げにかかる。携帯電話の『相手』に「20万円入った財布をひったくられて所持金3000円しかない。夜行バスで戻るけど足りないんだ」と語りかけ、男性から1万円を借りだした。
鳥越俊太郎は「中島みゆきさんのホームページでは、ご注意ください、と呼びかけていたようだ。不動産業界ではそういうことが噂になっていないから騙されたのでは」と言う。
逮捕、起訴された男が3年間に働いた詐欺は22件で、額は21万円。
落合恵子は「被害に会われた人も笑って話しておられたようだし、いろんな事件のなかではホッとしますね」と感想を述べた。
振り込め詐欺に比べると、この男の古典的詐欺はまだ可愛げがあるということだろう。