予想通り、米大統領選は民主党のオバマ氏が圧勝した。黒人初の大統領が実現したが、これで、未だ根強くある人種差別が消えてなくなるわけではない。10万人の支持者の前で、当選後の第一声を発する彼の周りを、背の高い防弾ガラスがぐるっと取り囲んでいたことが、彼の前途の多難さを象徴している。
さて、今週の各誌のトップ記事を並べてみる。「激震!CDS破綻リスク27社リスト『超有力企業の名前』」(ポスト)、「野田聖子『事務所放火事件』の深層」(現代)、「エコノミスト22人が株価大胆予測 もう一度くる底値」(朝日)、「中国だけが大喜び!『空爆長のクビ』が飛んだ論文『日本は侵略国家であったのか』の中味」(新潮)、「小室哲哉を破滅させた『カネと女』」(文春)
逮捕直前の「小室哲哉」報道
ポストと現代は、月曜日が休日だったため、土曜日発売だったから、暇ネタといってはいい過ぎだが、苦しい誌面作りだったことが伺える。朝日も、当たり障りのない株価予測でお茶を濁した感じだ。
時代の寵児だった小室哲哉の逮捕は、一般紙まで一面で扱うほどで、テレビも、連日のように大騒ぎしているが、小室が今も吉本興業に所属していたら、これほどやりたい放題やれただろうか。
朝日は、逮捕前の発売だったが、「小室逮捕直前情報を追う」と書いていたのは立派。文春の記事は、テレビやスポーツ紙が散々荒らしたあとだから、さして新味はない。
新潮は、反中国・反朝日の論客たちを集めて、田母神俊雄前空幕長の書いた論文の擁護をしているが、「日本は19世紀の後半以降、朝鮮半島や中国大陸に軍を進めることになるが相手国の了承を得ないで一方的に軍を進めたことはない」と書くような人物を、「あの人は侍、武士です」といわれても、私は、頷くことはできない。
ところで、今年上半期の部数が発表されたようだが、現代は実売30万部を切ったらしい。いずれも部数減に歯止めがかからないが、最近の週刊誌を読んでいて、一番気になるのは、「怒り」が誌面から伝わってこないことだ。高見から下々を眺め、中立・客観などとお題目を唱えている新聞と違って、雑誌の目線は読者と同じでなければいけない。それも庶民、弱者の目線だ。