<ブラッディ・マンデイ>ウイルステロに立ち向かう高校生天才ハッカー。こうした大仰な話は日本でやると、とかくチャチなものになってしまいがち。BIGな人も出ていないし、おまけに初回2時間なんて面倒くさい……と早々に脱落するつもりで寝転がって見始めたんだけど、しまいには正座し前のめりになって凝視していた。いやいや、面白いですよ! これ。
主役を演じる三浦春馬
ウイルスってコンピュータ・ウイルスかと思っていたら、本物の病原菌。1週間で800万人が死ぬという恐るべき感染力のこいつをバラまいて、東京壊滅をもくろむテロリストたち。ハッカー高木藤丸は、警察庁の秘密部隊の依頼を受け、暗号解読のためロシア軍部のコンピュータへ侵入する。
主演の三浦春馬くんは、「ごくせん」の悪ガキ役には線が細すぎたけど、今回はナチュラルな感じで役柄に合っている。妹を人質にとられ、テロ組織の言うなりにハッキングをさせられるのだが、テロに加担してしまった悔しさと怒りに満ちた泣き顔が印象的。真っ赤な目で歯をくいしばるその顔には、心を鷲掴みにされてしまった。
藤丸の動きを監視するために、彼の高校に教師として潜り込むテロ組織の女マヤに吉瀬美智子。この人最近やたら色々なドラマで見かける。クール&セクシーな役が多いが、加えて今回は不気味な怖さ。
個人的に気になるのは、藤丸の友人・九条音弥役の佐藤健くん。「ROOKIES」のときみたいなドレッドヘアじゃないからインパクトに欠けるけど、この先存在感を増してくるか。
ハッキングをイメージした隼の飛翔をはじめ、映像にも工夫を凝らしている。俯瞰で映し出される東京、それに被されるウイルスの拡大写真、エスカレーターの手すりやエレベーターのスイッチに触れる手のショット。ひと度それが撒かれたら次々と感染していくさまが想像できて、恐怖がリアルに伝わる。
第1話で起きたショッピングモールでのウイルス騒ぎ。800万人の命を守るためには数百人を見殺しにしてもやむを得ぬという状況に胸が苦しくなる。ニュースを見て「誰も死ななくてちょっと残念」とブログに書いた女が最初の犠牲者になる皮肉。その女の死に際のブログ「さよなら」の文字にすぐさま書きこまれる「勝手に死ねば」のコメント。テロを生む閉塞状況や人間そのものの怖さにも戦慄を覚えずにはいられない。
それにしても、警察内部にも裏切り者がいそうだし、いったい誰が敵で誰が味方なのか。次々と起こる予想外の出来事、息をもつかせぬ展開。この緊張感が3か月続いたら心臓がもたないかも。
(ツキノ・ワグマ)