<テレビウォッチ>テレビ朝日の「昭和の歌姫 美空ひばり 歌声は永遠に」。ほかに「衝撃秘話スペシャル」「発掘!幻の映像で綴る壮絶ドラマ」と、なかなかにぎやかなサブタイトルもついていた。
故美空ひばりは昭和12(1937)年生まれ。オレも一緒だ。1500曲を歌い、164本の映画に出た彼女は、まさに昭和の歌姫、女王さまだ。
「幻の映像」とやらは、1957年に大阪・堺市の公園で鈴なりになった人を映したものが出てきた。近くの公演と合わせ7万人を動員したとか。また、1973年に弟のスキャンダルで紅白歌合戦に出られず、裏番組として今のテレ朝の局で「美空ひばりショー」をやったときの映像もあった。
スター物まねの番組で、ひばりが「唄入り観音経」を歌ったのもあった。ひばりの師匠、「あきれたぼういず」の川田晴久の浪曲の歌い方をまねたものだ。
短い証言を集めたものや再現ドラマもあった。画的には面白かったが、全体としてはまとまりがない番組だった。歌なら歌を聴かせるとか、人物像に迫るなら迫るでもっと本格的にやるとか、そういう姿勢が欲しかった。ひばりは挑戦者だった、というような描き方をしていたが、古臭い扱い方だ。懐かしさに徹する訳でもなく、新しい視点で切り込むでもなく、平板だった。「衝撃」というほどのものはなく、期待はずれだった。
数字も関東で9%だったかな、取れなかったようだ。思いっきり新しいひばり像を描くか、そうでもなければ昔の映画の映像を許可とってバンバン使うとかやってほしかった。
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