動画共有サイトのYouTube(ユーチューブ)をよく見る人なら、一度ぐらいはFred(フレッド)の姿を見かけたことがあるかもしれない。妙に早口の甲高い声で喋りまくる長髪の少年だ。
約半年前、YouTubeに突如として現れたフレッドは、3分間程度のトーク動画を月に数本のペースで投稿し続けている。これらの動画は人気ミュージシャンや副大統領候補サラ・ペイリンの動画に混じって、必ず人気ランキングの上位に顔を出している。
10月9日に公開されたばかりの最新作「Fred Runs for President!(フレッド、学級委員に立候補)」は200万回再生に迫り、過去のヒット作は1000万級。彼のチャンネルは58万人が登録しており、ユーチューブ全体で1位。まさにユーチューブ随一の人気者といっていい存在なのである。
この少年の正体は、米国ネブラスカ州に住む15歳、ルーカス・クルークシャンク君。そして「フレッド」は彼が扮するキャラクターだ。6歳の幼稚園児で、怒りを抑えられない性格。アル中の母親のビデオカメラを勝手に使って動画を撮影している。片思いの女の子やいじめっ子の友人なども、声で出演。自転車に乗る練習をしたり、庭の子供用プールで泳いだり――そんな幼稚園児の日常生活を過ごすフレッドだが、何をやってもほとんど上手くいかず、キレて騒ぐのがお決まりのパターンだ。
しかし、なぜフレッドはこうも人気があるのか。言葉の壁もあり、日本人にはわかりづらい。LAタイムズのある記事(2008年6月)は「フレッド」シリーズの主な視聴者は子供で、「子供による子供のための(バカバカしい)動画」だという。だが、この記事には「大人だが、フレッドのファンだ」という反論のコメントが数多く寄せられている。
人気の理由は謎のままだが、フレッドの快進撃はとまらない。9月は最新のファミリー向け映画のYouTubeCMに出演するなど、オファーが山積みだという。動画内のプロダクトプレースメント広告契約も結んでおり、すでにTVタレント並のマネーを荒稼ぎしたそうだ。