「法律と実態がずれている」 大阪・15人死亡火災

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   <テレビウォッチ>大阪・ミナミの個室ビデオ店の大惨事は、46歳の男による放火だったとして容疑者が逮捕された。

   男は殺人、殺人未遂、現住建造物等放火の疑いで逮捕されたが、事件を追うとそこには社会のひずみや格差社会の『縮図』が浮き彫りに……。

   男は大阪府東大阪市に住む無職、小川和弘容疑者。離婚や転職を繰り返し、「生きているのが嫌になって放火した」と自供している。

   小川容疑者は、家賃3万7000円~3万8000円のワンルーム・マンション住まいだが、知人によると生活に困っていた様子だったという。

   同じマンションの住人は「引っ越しの当日、開けておいた戸から勝手にパツイチ(パンツ1枚)で部屋に入ってきた」。また近所の人も「パンツ1枚で通りをウロついていた」と言い、奇行の持ち主だったようだ。

   それにしても、生きているのが嫌で放火したという小川容疑者自身はパンツ1枚で外へ逃げ延び、知らずに熟睡していた人など15人が亡くなり、10人が負傷した。逃げやすいはずの1階から出火した火災で、これほどの被害者が出たのは日本で初めてという。

   何故これほど被害が拡大したのか??

   1つは出火時間。午前3時といういちばん熟睡する時間だったことが被害拡大につながった。

   しかし、それより問題なのは、この個室ビデオ店の構造。知り合いの安否を気遣い訪れたという常連客(58)は「部屋の通路はせまいうえ、迷路のように曲がっていた。通路の一部には、ビール缶やジュース缶が山積みされ、歩くのに障害になっていた」という。

   この店は、DVDを持ち逃げされないようにと、普段使っている出入り口は1つ。奥に32の個室があるが非常口はない。

   出火当時使われていたのは26部屋だった。出火元はちょうど真ん中の個室で、亡くなった15人のうち12人が出火元より奥の部屋にいた人たちだった。

   また、この男性によると、大阪・ミナミ周辺にはこうした個室ビデオ店が増えているという。この店は、カプセルホテルよりも安いので、ホテル代わりに利用している人が多く、仕事はあるが、家のない人が半分ぐらい利用しているという。

   ノンフィクション作家の岩上安身は「個室ビデオ店は、宿泊のカテゴリーには入っていないが、実態は宿泊。簡易の宿を求める場所になりつつある。それでも消火器は2個だけ、スプリンクラーがなかった。法律上は問題なかったというが、法のワクが実態とずれている」と指摘する。

   火災警報器は装備されていたというが、消防当局は作動するかどうかの点検はしていなかったという。これでは何のための点検か、手間を省いた形だけの点検なら子供でもできる。

文   モンブラン
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