「ロシアVSグルジア」問題 日本に無縁でない理由

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   グルジア紛争の意味合いを探る今夜の番組の見どころは2点。1つは、2003年のバラ革命で誕生し、親米・反ロ路線をとりNATO(北大西洋条約機構)加盟を図るグルジアのサーカシビリ政権と、それを嫌うロシアの攻防。もう1点は、スタジオゲスト、兵藤慎治・防衛省防衛研究所主任研究官の明快でわかりやすい状況分析、解説だった。

アメリカの存在感が増していく

   ロシア、グルジアの対立は3年前から一層、激化した。グルジアがアメリカの後押しを受けて、カスピ海から地中海に達する石油パイプラインを完成させたのである。エネルギー資源を武器に欧米への影響力を行使しようと考えるロシアは、自国を迂回するパイプラインの建設に危機感を持つ。グルジア人に対するロシアへの入国制限、グルジアの主要輸出品であるワインの一方的輸入禁止措置を厳しく打ち出す。アメリカはいち早く反応。グルジアワインの輸入量を増やし、NATOへの加盟も全面的に支援した。

   「しめつけを強めるほどアメリカの存在感が増していく」(ナレーション)。ロシアのジレンマはさぞや、と想像される。「再び冷戦が始まっても我々に怖いものはなにもない」(メドベージェフ大統領)として、ロシアはグルジアの奥深く侵攻したのである。

   国谷裕子キャスターの「国際政治への衝撃は?」という問いかけに、兵藤研究官は「大きく分けて3つのインパクトがある」として、以下のように説明する。

   ・9.11(丁度7年が経過した)以降の世界は、国際テロリズムという新しいタイプの脅威が国際安全保障上の中心的関心事だった。今度の紛争は、民族、領土問題に根ざす、国家と国家が衝突する伝統的なタイプの安全保障問題が現代でも起こり得ることを示した。

   ・世界政治の場において、市場経済化、民主化を果たしつつあるロシアは、欧米諸国の仲間入りをしつつあると見られていた。それが、かなりな規模の軍事行動を起こした。ロシアはどこへ向かおうとしているのか、隣国、日本も含めて国際社会は今後どう接するべきなのか、という課題を突きつけた。

   ・安全保障面でもアメリカの絶対的な優位性がゆらぎつつある、と認識したロシアが強気の姿勢を示した。

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