貧者の味方、太田光総理(爆笑問題)が今回提出した法案は――国会議員の給料を半分にし、公用車も廃止するというもの。庶民派宰相の王道的、そしてややマンネリ気味な政策と言えるだろう。
「いま国民は生活が苦しい。カネがなくなったら生活水準を下げるしかない。それを率先してやるのが国会議員じゃないのか」とソーリは主張する。国会議員一人あたりに対して年に、給料にあたる歳費が2200万円、そのほか文書通信交通滞在費や秘書給与など、総額6800万円が支給されている。この歳費を半分にし、支出を削り、チェックを厳しくしていく方針を打ち出した。
これに寄せられた反対意見には、「給料が安いところに、優秀な人材は集まらない」(吉川幸枝・よし川社長)、「日本は経済大国で、国家の格というものがある。その国政を司る議員が(薄給で)貧乏たらしくていいんでしょうか」(政治コメンテーターの金美齢)など。
反対派の真打ちは自民党の大物代議士でソーリの宿敵、石破茂である。ソーリをやぶにらみつつ、政治家の意味、議会ができるまでの歴史を滔々と喋る。昔は王様がなんでも勝手に決めていた――が、それが今では官僚機構なのだそうだ。政治家がいなければ、放っておけば、官僚は勝手なことをしはじめる。
もちろんソーリは納得しない。「政治家だって官僚と同じじゃないか」「アンタだって(王様のように)勝手に戦争をはじめたじゃないか」。石破が「いい加減なことを言うな」と火花を散らす場面も。が、基本的にソーリが舌を出したり、尻を叩いても、石破はどっしり構えていて、あまり乗ってこなかった。
そこで期待がかかるのは、もう一人の宿敵である。国際コラムニストのケビン・クローンなら、盛り上げ方を心得てるはず。ところが今回、ケビンは「政治家はカネもらいすぎだって言うけど、アンタはいくらもらってんの?」と言い出した。この番組の虚構性を軽視するもので、筋違いで失礼な発言である。
「そんなの関係ないだろ! 税金で給料払ってる政治家の話なんだから!」と大声で突っぱねることもできたはず(こちらのほうがありそうだった)だが、今日のソーリは意表を突かれたように「へっ!?」と言って、一瞬動きをとめると、渋々こう言った。「言うとみんなが引くぐらいもらってるけど……」
この答えと、それまでの長い間は、テレビ的に気の利いたモノとは思えなかった。無粋の応酬はダブルノックアウト状態だったが、最後に「政治家も(国民と)同じ苦しみを味わってくれって言ってるわけ。貧乏人なら、貧乏人らしくしましょうよ」と叫んだソーリはスタジオの喝采を浴び、法案は10対8の僅差で可決された。
ボンド柳生
*太田光の私が総理大臣になったら…秘書田中(日本テレビ系)