<テレビウォッチ>拉致被害者の再調査が、8月13日未明まで行われた日朝実務者協議で合意された。
詳細は分からないが、番組が伝えた合意内容を見ると、また北朝鮮のペースに乗せられるのでは? との疑念がわいてくる。
中国・瀋陽で開かれた協議には、斎木昭隆・外務省アジア大洋州局長と宋日昊・朝日国交正常化交渉担当大使らが出席。
日本側が初日(11日)に、再調査の具体的方法について北朝鮮側に質したのに対し、北朝鮮側は「12日に回答する」と伝えていた。
12日9時(日本時間同10時)に始まった最終協議は、14時にいったん休憩に入ったものの、再開したのは10時間以上もたった13日午前0時過ぎという異例なものだった。
番組が報じた合意内容は、(1)北朝鮮側が調査委員会を組織し、迅速に調査を行う(2)調査の進ちょく状況を日本側に随時通知し、協議を行う。また日本側が関係者と面談し、調査結果を直接確認できるようにする(3)その見返りとして日本側は、人的往来と航空チャーター便の制裁を解除する。制裁解除のタイミングは、調査委員会が立ちあがった時点とする―というもの。
協議終了後、斎木局長は言葉少なに「北朝鮮側は、権限を与えられた調査委員会が調査を行い、調査は迅速に行い、可能な限り今秋に終了するということです」と述べただけ。
あの北朝鮮が立ち上げる調査委員会がそもそも信頼できるのかどうか、調査結果が出る前に制裁解除のカード切ってしまうのは適切かどうか、疑念は尽きないのだが……
現地で取材したTBS記者は「日本側は、北朝鮮の口約束でしかない拉致被害者の再調査を行動に移させるためには、調査結果がまとまる前の段階で制裁の一部解除というカードを切らざるを得なかったようだ」という。
毎日新聞論説委員の与良正男は「中身がもう少しないと評価が難しい。拉致問題は、福田さんにとって外交の最大課題。やり方次第では命運がかかってくる。基本的には、再調査を生かすべきだと思っていますが……」と。
それにしても、北朝鮮に早くも主導権を握られた形の再調査。今後手こずるのは必至のようだ。