次から次へと繰り広げられる理不尽な親たちの言い分にイライラ、ムカムカ、キリキリ。遠足で先生が撮ってくれた写真の中にわが子のものが少ない、先生はエコひいきしているとか、日曜日に公園で友達と遊んでいてケガをした、学校にも安全管理の責任があるのではないかって。しかも1000万円の賠償請求! カスリ傷で医師の診断書もないのに?
担任を変えろと学校に日参し、昼夜を問わずケータイに電話をかけ続けたり、中傷メールを送ったり、これじゃ教師もノイローゼになるわ。
そこで、さっそうと登場するのが、対応に苦慮する教育委員会から相談を受けたエリート弁護士・高村樹季(米倉涼子)。なのに、これがまったくの役立たずなんだな。胸の大きく開いたブラウス、超ミニスカートのファッションは、企業のトップを籠絡するにはいいけど、PTAには反感買いそう。おまけに、ヘリクツ並べたてられて言い返すこともできないなんて、相談料1時間7万円の実績が泣く。
教育委員会の指導主事・三浦(佐々木蔵之介)にも腹が立つ。子供のことをまず第一に考えなきゃいけない、と一見正しいことを言っているようだし、樹季の暴走を食い止める存在のようにみえるけど、実際、親の言い分をひたすら聞いているだけで、何にもしていない。
毎回毎回、スッキリしない結末。1話では担任が自殺未遂で退職、モンスターの思うツボだ。2話では、最初に親が先生のもとへ相談にいったとき、「日曜のことまで面倒みきれない」とぞんざいな態度をとったからいけなかったのだと、教師が謝罪して終わり。そうじゃないでしょ。親も自分の行き過ぎを認めて謝らなきゃ解決とはいえない。
自己主張ばかりで他人の言葉に耳を傾けようともしない、こんな親に育てられる子供はどうなっちゃうんだろう。3話の給食費未納問題にいたっては、「マズイものを食べてやっているのに、なぜお金を払わなきゃいけないんだ」の暴言に思わず拳を握りしめる。木村佳乃、南野陽子、東幹久、MEGUMI、モンスターを演じる役者がみんなうまくて、憎たらしさもひとしおだ。
それにしても、このモンスターたちと対峙させるのに、作り手はなぜ「セレブ弁護士」を選んだのだろう。毒をもって毒を制す? コメディタッチにするため? はたしてその意図は……。負けを知らなかった樹季が教育現場の実態を知り、勝ち負けという尺度ではなく、角度を変えて物事を見るようになる。って、いやいや、私が見たいのは弁護士の成長物語じゃなく、モンスターがコテンパンにやっつけられて改心する様なんだけど。みんなで考えようという問題提起はわかるが、そろそろカタルシスを味わいたいゾ。
と同時に、親たちのひどさばかりクローズアップするのはちょっと危険かも。エコひいきする先生は実際いるし、イジメの問題を学校に訴えたのに親身になってもらえないケースもあるだろうしね。