総理にしたい芸能人アンケートで上位の常連だという太田光総理@爆笑問題。もしも現総理に代わったら、番組の言うように「ニッポンは平和になる」だろうか。
ひとつだけたしかなのは、ソーリが何をおいても真っ先にインターネット、とりわけ巨大匿名掲示板の規制に取り組むだろうということ。この番組では、ソーリ提出のネット問題対策法案が手を変え品を変え登場するが、今回は「インターネットの利用は親の承諾を必要とします」法案(結果は8対12で否決)である。
討論前の第1回投票で、賛成7対反対13とソーリは大劣勢。なお、この小さな国会では、かつての「どっちの料理ショー」の大逆転劇や、リアル政治家が繰り広げるコンゲームにはあまりお目にかかれない。「総理、頑張らないと形勢悪いよ」と反対派の丸山和也・参院議員が冷やかすが、「可決・否決」の勝負という番組上の仕掛けはこの時点で失われたも同然である。
そんななか、ソーリは持論のアピールに熱中する。「ネット掲示板に『殺す』といった言葉を自由に書き込むのをやめたい」。今回は「子供をどう守るか」的な趣旨の法案のはずだが、すべての話はネット掲示板に通じる。
自身の抱える「悪意」の制御に苦しみながら、公の舞台で綱渡りの表現活動を続けてきたソーリにしてみれば、自由に悪意をまき散らす掲示板が、とにかく憎くてたまらないようだ。
「殺す」なんて言葉を、ネット掲示板では自由に書き込める。そのことの意味は大きい、と総理は言う。「そんな場所はあっちゃいけない」。「殺す」という発言を誰かがするのは止められないが、それを書き込む場所をつぶすことはできるはず。だから、「ああいう掲示板はひねりつぶしたいと思うワケ」
自分もかつては、秋葉原事件の犯人のようにひきこもり、人とうまく話せなかった。そんな状況はリアルに自分が変わるか、周囲を変えるしかない。ネット上のバーチャルなコミュニケーションはその邪魔になる。
「でも最低限――」と評論家の宮崎哲弥は言う。「ネットは自分をわかってくれる、たった1人の人に出会える可能性がある場。そこに安住してはいけないけど」。そんな可能性をつぶすべきだとアナタは思いますか?――と、いつもの質問口調はここでは見られなかったが、そう言い出しそうな雰囲気ではあった。
ソーリの答え。「乱暴な意見かもしれないけど、そういう奴は人前に出ればいい」。オレを見習って、というところだろうか。
ボンド柳生