<テレビウォッチ>まあ、世の中不況だ、不況だといいながら、あるところにはあるもんだ……といったら叱られるかもしれないが、巧みなインチキ話で2年間で3万5000人から850億円を集めたというから、1人平均でも200万円を超す。
「ワールドオーシャンファーム」というもっともらしい組織をつくっていたのは、黒岩勇容疑者(59)。きのう(7月2日)組織的詐欺の容疑で逮捕された。
フィリピンでのエビの養殖に投資すれば「1年で倍になる」と、言葉巧みに持ちかけ、初めは配当金をきちんと払って信用させてさらに投資を積みましさせる、という手口。現地に東京ドーム450個分の養殖池をもっていると、現地ツアーをやったり、ホテルでの豪華パーティー、温泉で新年会……というお定まりのパターンだが、ある時ぱったりと途絶える。
新規の会員から集めた金を配当にまわすマルチ商法だから、いずれは行き詰まる。そこでドロン、というのが本当の目的で、どうやら成功しかけていたらしい。
ところが、黒岩容疑者が昨2007年2月に48億円をアメリカへ送金したのが、連邦捜査局(FBI)の目に止まった。事情聴取のあとフィリピンに逃げたが、同年12月に帰国したさい、偽造旅券だったため、旅券法違反でこの5月有罪判決を受けていた。
警視庁などは告発を受けて昨年7月から捜査を始め、今回の逮捕に至ったのだが、これまでの捜査で、墓石の下で1億円、息子の家の押入で6億円などがみつかっているという。
今回の逮捕者には、組織の幹部だけでなく、上級会員も含まれていた。たしかにマルチ商法は、先に始めたものが得をする。警察はこれも黒岩らと同類と判断しているらしいが、それが罪にとわれるのは異例。成り行きが注目される。
「FBIが見破ってくれなかったらどうなっていたか」と長谷川豊。
佐々木恭子は、「手口としてはいつも同じ。そんなうまい話はないと言い続けるしかない」
眞鍋かをりは、「お金は被害者に戻るんですかね」
主な被害者は、50代60代の女性で、老後のための蓄えだったなどの報道もある。
が、スタジオからは声なし。まさに「浜の真砂は尽きるとも……」、分かりきっているところをだますのが、詐欺師の真骨頂とはいえ、やっぱりため息。