<テレビウォッチ>稀代の詐欺師というのだろう。エビ養殖をめぐる組織的詐欺の容疑で投資会社の会長(59)らが逮捕された。
とりあえずは、30人から1億2000万円をだまし取った疑いだが、3万5000人から850億円を集めたといわれる。エビで大金を釣ったわけである。
手口は、割と単純。フィリピンにある東京ドーム450個分の養殖場で育てる原価1匹20円のエビを120円で売って10日ごとに配当を出し、1年で元本を2倍にする、という触れこみで1口10万円の投資話を持ちかけるのだ。当初は配当を払っていたが、昨2007年から滞り始めたという。
高木美也子(日本大学教授)は、「1年で2倍になるなんてオイシイ話ないのに、乗る人いるんですね」と首を傾げるが、老後を少しでも楽にと考えて、なけなしの金をはたいた人もいるらしい。
嶌信彦(白鴎大学教授)「世の中一般が投機ブームになって、ファンドで50~60%配当するってのがあるから、リアリティあるように見えちゃうんでしょう」
みのもんた「みなさん、ご自分で稼いだ金、だいじにしてください」
番組は、逮捕前日の会長を隠しカメラとマイクで追ったらしく、焼肉店とクラブで知人とくつろぐ姿を克明にとらえた映像を頻繁に出した。2人の会話からは、偽造パスポートで海外逃亡を企てている様子や、ドバイの口座に多額の金を預けてあるかのような話が漏れ聞こえる。密着取材だったのだろう。逮捕の瞬間まで写していた。
会長は、「だますつもりはなかった」と容疑を否認しているという。集めた金のうち、48億円をアメリカの口座に預けたり(FBIが凍結)、先祖の墓の下に1億円を隠したり、息子のアパートの押入れに数億円を入れていたが、大半の行方は不明。逮捕者もさらに増える見込みで、全容解明はまだ先になるようだ。