「うつ病診断」医者は信じられるか 「新しい」タイプ続々

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   身の回りに、うつ病が増えているのではないか、とくに若い人に多くなっているのでは、と思ってはいた。

   番組によると、日本の患者数は100万人を超え、半数が慢性化しているという。「うつ病は心のカゼともいわれ、誰でもかかる可能性があります」(国谷裕子キャスター)。しかも、最近、うつ病らしくないうつ病や、これまで効果を発揮してきた抗うつ薬が効かない新しいタイプが目立ち、治療法が行き届かないために長期化する傾向が見られるのだという。

性格、環境含めた総合的診断を

   番組は2つのケースを紹介する。(1)非定型うつ病=子どもに恵まれずストレスを抱えた主婦は、3年前から体調が変化。夕方から気分が落ち込み、イライラを周りの人にぶつける。過食、過剰な睡眠が常態化する。従来の典型的なうつ病の症状である、不眠、食欲不振、自責の念が強い、1日中気分が憂鬱、とは逆の症状が出て、ある病院では、うつ病とみなされなかった。

   (2)「双極性障害」II型=40代の商社マンは、大きな仕事の重圧からひどく落ち込み、別な病院で受診したところ「典型的うつ病」と言われる。抗うつ薬を2年間つづけたが改善せず、防衛医科大学の野村総一郎教授(スタジオゲスト、日本うつ病学会理事長)の元を訪れ、そううつ病の1種である「双極性障害」II型と診断される(I型については言及なし)。

   (1)の患者をうつ病と診立てた貝谷久宣医師は、「病気の概念が医療界、社会に十分に認められていないことが慢性化の要因」と語る。また、野村教授は、「双極性障害」II型の特徴として、うつ状態の合間にときどき顔を出す「軽いそう状態」を挙げ、「軽いために見つけにくい」と言った。「双極性障害」II型では、従来の抗うつ薬を与えると極端なそう状態を起こしてしまい、その反動で気分が落ち込み、自殺につながる恐れがある、と野村教授は話す。ただ、気分安定薬を投与するなど適切な治療をすれば、社会復帰は可能だという。

   国谷キャスターが、うつ病診断のポイントを尋ねたのに対して、野村教授は、従来の診断基準、投薬だけに頼らない、患者の性格、考え方、ストレス、家族環境などを含めた総合的な診断が必要で、「精神科医は原点に返るべき」と述べたが、なかなか容易ではなさそうだ。5月下旬に開かれた「日本精神神経学会」に参加した2人の女医も、「とらえ方が広くなっている」「いろんな症状が出てくるので難しい」と、戸惑いを隠さない。

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