肝炎問題「国民の怒りに火をつければ」

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   今回の番組は、いつもと空気が違った。今回の内容は、とても45分の番組の中に押し詰められるものではない。今回の「プロフェッショナル 仕事の流儀」ゲストは、薬害肝炎問題に取り組む弁護士・鈴木利廣。

   そもそも薬害肝炎問題とは。1960年代から90年代初頭にかけて、出産や手術の際の止血のために使われていた血液製剤が原因で、C型肝炎に多くの人が感染した問題だ。2002年に原告団が製薬会社と国を相手取って起こした裁判が「薬害肝炎訴訟」。その原告側の東京弁護団代表が鈴木だ。

   鈴木の仕事は弁護士。弁護士は案件を勝訴に持ち込むこと、それだけが仕事だと私は考えていた。しかし鈴木の場合はそうではなかった。かつて鈴木が勝訴に持ち込んだ、ある医療裁判があった。しかし病院側は金だけを払って謝罪はしなかった。被害者は金を取ることだけが目的ではない。相手が非を認めた上で、2度と医療ミスを繰り返さないようにさせるのが本望のはずだ。

   薬害肝炎問題の件も和解に持ち込むことだけが仕事ではない。むしろその後の患者の救済と、薬害の再発防止のための道のりを整備していくことが彼の仕事。

   そのため、鈴木はメディアを積極的に取り入れる。世間に現状をアピールし、関心を高める。肝炎問題では血液製剤だけではなく、注射針の使い回しによる感染も確認されており、その被害者は実に推定350万人。丁度私の親世代から上がその対象になるのだろう。「国民の怒りに火をつければ」と鈴木は語る。多くの国民が関心を抱けば、国も動くだろう。

   ここまで大きな規模のケースでは、問題が山のようにあちこちに点在していて、どこを攻めれば解決するというものでもないのだろう。被害者や、それを救済しようとする鈴木の苦悩、置かれている立場を考えさせられる放送だった。

文   慶応大学・がくちゃん
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